東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第64回(21年度)ブルーリボン賞が23日までに決定し、河合優実(21)が「サマーフィルムにのって」「由宇子の天秤」で新人賞を受賞した。一報には「まさかという感じでした。歴史ある賞なのでありがたく思います。お母さんは喜んでました。『うそでしょ!?』って」と笑った。

演技を始めて3年。小学3年から高校まで続けたダンスが、表現者としてのルーツだ。ヒップホップ、ロック、ジャズ、コンテンポラリーなど、さまざまなダンスを経験した。「体で表現して、笑ったり泣いたりしてもらうという経験が根っこにあります」と言う。「(表現する方法として)イラストやデザインを考えた時期もありましたが、いちばんピンときたのが役者ということなのかな」。

「サマーフィルム-」は、高校生が自主映画を作るひと夏を描いた。「いろんな年代の人に見てもらえて『去年の1番でした』と言ってくれた人もいました。映画館に見に行ったんですよ。(渋谷の)シネクイントに。前の人の泣き声が聞こえてきて、届いたんだなと感じました」と言う。

映画を愛する登場人物たちが熱い。「コロナ禍でミニシアターの危機もあった。そういったことも見る人にはまったんだと思います」と分析する。

先だって撮った「由宇子-」については「演技を始めた18歳で撮影した作品」と思い入れが深い。「やり方、アプローチをどうするか定まっていない時で、シンプルなやり方で自由に動けていたと思います」と振り返った。

2つの作品とも、監督、スタッフ、他の出演者、一体になった現場だった。「監督がいて末端に役者がいる…ということになりがちですが、今までの作品は一緒に作っていく感覚が楽しかったです。皆で共通して持っている認識や思いが(作品に)乗っかった時に人に届くと実感しました。作りたいものを作ろうとしている監督とちゃんと手を組んでやりたい。新人賞という賞をいただいたことで、そこに向かう後押しをしてもらった気がします」。

落ち着いた雰囲気と語り口は、普段からだそう。「落ち着いてるねってけっこう言われます。みんなの前に立って引っ張るタイプではないので、ダンスや歌で発散していました。言葉にできないけど考えていることはたくさんあって、言葉にできない部分を表現できるからお芝居が好きなのかな」と自分を見つめる。

「常に驚かせていたい」と言う河合。「リミッターを外せば飛び込んでいける。怖がらずに飛び込んでいける年にしたい」と、今年の抱負も語った。【小林千穂】

◆河合優実(かわい・ゆうみ)2000年(平12)12月19日、東京都生まれ。19年、映画「よどみなく、やまない」で主演デビュー。映画、ドラマ、モデルなどで活躍。20年舞台「フリムンシスターズ」でミュージカル初挑戦。映画はほかに「喜劇 愛妻物語」「アンダードッグ」など。

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催も61年に脱退し67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから副賞は万年筆。主演男、女優賞受賞者が、翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。