アニメーション映画「THE FIRST SLAM DUNK」(井上雄彦監督)が、22年12月3日の公開から241日を迎えた7月31日時点で、興行収入(興収)150億円を突破した。

配給の東映が1日、発表した。興収は150億1138万7550円、動員1041万4262人を記録した。公開から半年、184日を迎えた5月3日時点では、興収144億3607万8140円、国内の観客動員数が1002万5548人に達し動員1000万人を突破していた。

「THE FIRST SLAM DUNK」は、22年12月3日の公開後、同日と4日の2日間で興行収入(興収)12億9580万8780円、動員84万6687人とロケットスタート。11日までの9日間では、興収30億3549万2950円、動員202万4129人と、その数字をさらに伸ばした。公開3週目を迎えても、同初週だった米ハリウッド超大作の続編「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(ジェームズ・キャメロン監督)を押さえ3週連続首位をキープし、興収は41億8000万円を記録。公開から4週連続で、興行通信社調べの全国週末興行成績ランキングで首位をキープした。

一方で、あらすじすら一切、開示されないまま公開を迎え、その後も内容が明らかにされないことに、批判的な論調を発信するメディアもあった。そもそも、公開前に出された情報自体、少なかった。原作漫画の作者でもある井上雄彦監督(56)が、21年1月7日正午すぎに自身のツイッターで

「【スラムダンク】映画になります!」

と電撃的に発信したのが第一報だった。すぐ後に、東映アニメーションが「“新しいアニメーション映画”を制作中」と発表。同8月に公開日とビジュアル、今年7月には新ビジュアルと特報動画、11月には声優陣の刷新と主題歌が配信番組で発表されたが、あらすじは公開後も公開しなかった。東映の宣伝担当者は、その意図を、次のように説明。

「原作とは全く違う切り口、新しい観点、視点から描いた作品であり、そこに新しい驚き、喜び、感動があるであろうことは事前に分かっていた。我々も映画屋なので、映画館で感動を最大化するためには、そして原作が連載され、テレビアニメが暴走された当時、大好きだった方に、映画の価値を伝えるには、どういう宣伝をしたら1番、良いかと考えた時、イレギュラーながら、あらすじや内容を事前には明かさない、という考えに、たどり着きました」

そして22年12月23日に、公式サイト上に初めて「プロローグ」と題し、物語の一端を紹介。

「忘れるな。リョータ。いつも余裕をかましながら頭脳的なプレーと電光石火のスピードで相手を翻弄(ほんろう)する湘北の切り込み隊長、ポイントガード・宮城リョータ。沖縄で生まれ育ったリョータには3つ上の兄がいた。幼い頃から地元で有名な選手だった兄の背中を追うようにリョータもバスケにのめりこむ。高校2年生になったリョータは、湘北高校バスケ部で、桜木、流川、赤木、三井たちとインターハイに出場。今まさに王者、山王工業に挑もうとしていた。」

同26日には、公開から23日間で興行収入(興収)50億円を突破したと発表。興収50億6702万9010円、動員340万7275人(全国425スクリーン)を記録した。

さらに、公開から今年2月7日までの67日間で興収100億円を突破。興収100億215万1390円、動員687万384人を記録した。

7月31日は、映画で主人公として描かれた、ポイントガード宮城リョータ(声=仲村宗悟)の誕生日で「宮城家座談会」映像付き上映と同映像付応援上映が行われた。特別な日だったこともあり、この日の興行収入は前週比439・7%を記録。また7月28日~8月2日まで「夜帯上映」、8月3日には「山王工業戦全国同時刻上映イベント」を予定しており、同31日の終映に向けて、今後も幅広い世代の動員が期待される。

◆「SLAM DUNK」 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で、1990年(平2)10月から96年6月まで連載。神奈川県立湘北高に入学した桜木花道が一目ぼれした赤木晴子目当てにバスケを始め、全国高校総体に出場するなど成長していく物語。93年から96年まで、東映アニメーションの前身東映動画制作のアニメがテレビ朝日系で放送され94、95年には2本ずつアニメ映画も公開。06年に若いバスケ選手を支援する「スラムダンク奨学金」が設立されプロ選手も輩出。18年に新装再編版(全20巻)、連載開始30周年の20年にはイラスト集が刊行された。