今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」は、8月27~30日に札幌市内で開催された第40回アジア競馬会議(ARC)の全12講演に出席した東京・松田直樹記者が担当する。40の国と地域、団体から約800人が参加した世界規模の会議。「Be Connected,Stride Together(つながろう、ともに歩もう)」のスローガンのもと、競馬の未来が論じられた。多岐にわたった議論で日本競馬の成熟したファン層のすばらしさを感じた。
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心地よい疲労感を覚えた。学生時代ですら、ここまで真面目に講義に耳を傾けたことはなかったかもしれない。ARCの日本開催は16年ぶり。アジア競馬連盟会長のウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏は8月28日の基調講演でこんなことを言っていた。「スポーツとしての位置付けが大事。日本がその好例だ」。
競馬は世界的に参加者の平均年齢が上昇し、コロナ禍に上がった売り上げが停滞傾向にある。競合するスポーツベッティングが幅を利かせ、違法賭事市場は今や1兆7000億ドル規模までアンダーグラウンドで拡大してしまった。諸事情込みで将来安泰とは言い難い中、日本の競馬ファンが模範的だと言及したのだ。
別の講演ではファンエンゲージメント、すなわちファンと競馬の結びつきが今後の発展につながるとされた。前述のブレスゲス氏は香港ジョッキークラブのCEOでもある人だ。香港馬ロマンチックウォリアーが勝った安田記念。同氏は「ファンがジョッキーや競走馬をヒーローとしてみている」と、日本初参戦の勝者をたたえるファンの姿に感銘を受けたという。
ギャンブルの中にスポーツ性を見いだす。日本はこの点で他国と一線を画しているように感じる。ダビスタしかり、ウマ娘しかり。日本では漫画、アニメ、グッズが文化として根付いて、競馬の入り口への壁を低くしている。12年以降、JRAの馬券売り上げは毎年前年比増。今、日本が積み上げてきたファン文化の構築を他国が追いかけているように映った。
香港ではAIや仮想空間を駆使して、リアルタイムでファン同士の交流を図るサービスをリリース。他地域でも、魅力向上に努める試みが紹介された。別の講演に参加した武豊は「日本がリーダー的存在になってほしいし、そうなっていかないといけない」と話した。競馬産業の持続性を考えたときにファンの存在、競馬への理解深化は必須。競走馬の質はもちろん、競馬を盛り上げる日本のファンの存在も、世界に誇れるものなのだと感じた。
◆アジア競馬会議(Asian Racing Conference) アジア諸国間の親善と相互理解の促進、および加盟国間の競馬交流を目的として、日本の提唱により創設された国際会議。第1回は1960年に東京で開催。今回は08年以来、16年ぶりの日本開催。過去4回は全て東京で議論が交わされ、今回は初の札幌開催となった。40の国と地域、団体から約800人の競馬関係者が出席した。
(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)



