“まめちん先生”の近況は-。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」は下村琴葉(ことは)記者が北海道の追分ファームを取材。種牡馬を引退し、出身牧場の追分ファームでリードホースをしているG1・2勝馬フェノーメノ(17歳)に迫った。

   ◇   ◇   ◇

追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ
追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ

鮮やかな芝を子馬がはむ放牧地に、貫禄を漂わせる青鹿毛が1頭いた。フェノーメノ。父にステイゴールドを持ち、13、14年の天皇賞・春を優勝した名ステイヤーだ。17歳となった今でも身にまとう筋肉には張りがあり、陽光に馬体が輝く。そんなかつてのG1馬は今、追分ファームでリードホースを務めている。現役時代に管理していた戸田師が名付けた愛称にちなみ、“まめちん先生”としてSNSで話題になっている。

リードホースとは、ざっくり言えば先生か。牧場で春に生まれた馬たちは、夏頃に母馬から離れて“離乳”をする。競走馬の育成過程における一大行事だ。母と離れた馬の中には心細くてカイ食いが落ちる馬もいるそうだ。そこで、放牧地で当歳馬を見守るのがリードホース。ただ、全ての牧場にリードホースがいるわけではない。そして、だいたいは繁殖を引退した牝馬がそれを務めることが多い。

追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ
追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ

「このクラスの牡馬がリードホースをやるのは大丈夫なのかなと心配していた」。そう話すのは猪瀬厩舎長。血統的にも荒々しさがあるイメージがあるが、「年を重ねて穏やかになってきた。たまにオラついて『どいて』みたいな時もありますが(笑い)」。リードホース転向直後は戸惑いもあったそうだが、今は4年目を迎えてどっしりと構えている。

通常は朝6時半から当歳と一緒に放牧へ出る。夏の時期は虫が多いのを嫌がって歩き回り、運動量が増えてしまうため午後1時くらいには集牧。「仔馬に対して好き嫌いもなくて、どの馬に対しても一定の距離で対応していますよ」。記者が取材に行った時は、子馬と一緒に芝を食べていたが、徐々に1頭で離れていってマイペースで過ごしていた。適度な距離感も大事だ。

追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ
追分ファームでリードホースを務めているフェノーメノ

そして、競走馬としてのお手本を背中で語っている。「こういう風に体を動かせばいいのかな、と子馬たちはフェノーメノの走りを見ている部分もあると思う。フェノーメノの動き自体が軽いですからね。いい動きをまねてくれたら」。まめちん先生の教え子が大舞台で活躍する日を楽しみにしたい。

◆フェノーメノ 父ステイゴールド、母ディラローシェ(デインヒル)という血統。通算成績は18戦7勝で12年青葉賞、セントライト記念、13年日経賞、13、14年天皇賞・春を制した。12年ダービーはディープブリランテの鼻差2着、同年天皇賞・秋はエイシンフラッシュの半馬身差2着だった。馬名の意味はポルトガル語で超常現象、怪物。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)