世界の短距離王カーインライジングとともに香港のレースシーンを牽引したロマンチックウォリアーの引退が発表されました。
4歳時の香港ダービーで頭角を現し、引退が発表するまで24勝(31戦)を重ね、世界で最も賞金を稼いだ名馬は、香港を飛び出して数々の名勝負を繰り広げました。
ゴール前でごぼう抜き、世界に認知された23年のG1コックスプレート、ナミュールやソウルラッシュをねじ伏せて日本を制圧した24年のG1安田記念、大逃げしたメジャードタイムを余裕綽々に交わした25年のG1ジェベルハッタ、初のダートながら直線で先頭に立って、追撃するフォーエバーヤングを最後まで苦しめたG1サウジカップ、クリスチャン・デムーロ騎手とソウルラッシュにゴール寸前で交わされたものの、3着以下を大きく引き離したG1ドバイターフ…風格漂う走りは今も脳裏に焼き付いています。
ロマンチックウォリアーの引退によって香港の競馬番付(独自の香港レーティング)はカーインライジングが145で抜けた存在になり、その下の大関格にヴォイッジバブル(128)、関脇クラスとしてマイウィッシュ(124)とラッキースワイネス(123)が並び、小結にファストネットワーク(121)、ギャラクシーパッチ(120)、ヘリオスエクスプレス(120)という序列になっています。
香港新シーズンの幕開けとなったG3香港特別行政区長官杯を楽勝して、今シーズンも無敵快進撃を続けそうなカーインライジングの勢いは止まりそうもありませんが、今年に入って勝ち星のないヴォイッジバブル(8歳)、人気で臨んだ4月のG1チャンピオンズマイルで11着に沈んだラッキースワイネス(8歳)、G1勝ち鞍がなく、6連敗中のギャラクシーパッチ(7歳)、短距離路線でカーインライジングに頭を押さえられているヘリオスエクスプレス(7歳)、それに日本遠征で古傷のノド鳴りを再発させたファストネットワーク(6歳)などは、それぞれに問題を抱えていて、今のポジションを維持するのが精一杯。ロマンチックウォリアーの抜けた穴を埋めることはなさそうです。
2番手以下が頭打ちになっている状況で、一縷の望みをつないでいるのがG1チャンピオンズマイルに勝って、マイル路線を制圧したマイウィッシュ(6歳)と25~26年シーズンの最優秀4歳馬と最高成長馬をダブル受賞したインヴィンシブルアイビス(5歳)の2頭です。
マイルの新王者となったマイウィッシュは、一世を風靡したゴールデンシックスティの域には遠く及ばぬものの、前走でひと皮剥けた姿をアピールしています。今シーズンのスケジュール未定ですが、今季初戦に向けて調整順調が伝えられていて、12月のG1香港マイルでも主役になることが期待されます。
今春の香港ダービーを制したインヴィンシブルアイビスは、G1初挑戦となったチャンピオンズマイルでマイウィッシュの4着でしたが、その差はわずか1馬身。この時に手綱を握ったのはロマンチックウォリアーとコンビを組んでいたジェームズ・マクドナルド騎手でした。
2000メートルの香港ダービーの勝ちタイムは2分を切って優秀。最終コーナー手前から仕掛けられて、直線で使って使った末脚には見るべきものがありました。
管理するマーク・ニューナム調教師は、まだ新シーズンの進路を明らかにしていませんが、地元ファンからは“ポスト・ロマンチックウォリアー”を期待する声が上がっています。
秋からの香港競馬にも注目です。
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績等は2026年9月10日現在



