男子72キロ級で樋口健太郎(46=フリー)が175キロの日本新で優勝した。ただ、1回目で自らが持つ日本記録を3キロ更新しながら180キロを2回続けて失敗しただけに渋い表情だった。
「ダメでしたね。3本とも取るのは目標なのに、それができなかったので。精度が足らないですね」
2回目に180キロを上げていれば、最終試技で185キロに挑むつもりだっただけに悔しさも募る。
「練習ではそれぐらいは上げている。この競技はパワーではなく技術ですから」
東京パラに出場するには17年の世界選手権から来春までの国際大会の成績で決まるランキングで8位以内に入なければならない。185キロに成功していれば、現在の12位から一気に6位にジャンプアップできた。
17年9月に交通事故で右大腿(だいたい)下から切断した。それから競技を始め、飛躍的に記録を伸ばしてきた。
「自分には経験が足りない。それでも来年4月までには190キロを上げたい。自己ベストを出し続けたい」
完璧を求めるサムライは、3キロの記録更新では決して満足しない。