「ソトアソビゴコロ」をテーマにした『CYCLE MODE international2019』が開催された
「ソトアソビゴコロ」をテーマにした『CYCLE MODE international2019』が開催された

11月2~4日に千葉市の幕張メッセ国際展示場で開催された『CYCLE MODE international 2019』に行ってきました。日本で最大級のスポーツ自転車フェスティバル。05年から毎年11月に幕張で開かれ、15年目の今回はサイクリストや多くの人が楽しむ『ソトアソビゴコロ』をテーマに、3日間で昨年より多い2万5810人(主催者発表)が詰め掛けた。その盛況ぶりの一端をお伝えします。

幕張メッセの国際展示場。多くのブースが設置されて大勢の入場があった
幕張メッセの国際展示場。多くのブースが設置されて大勢の入場があった

3日のお昼過ぎに展示場に着くと、そこはひしめき合うどのブースにも人、人、人。自転車にまつわることなら何でもお任せという雰囲気に、訪れた人はみなさん楽しそう。アスリート講座やトークショー、スポーツ自転車とその部品展示や試乗会、自転車ツーリングに便利な車の紹介も。などなど、ご紹介しきれないほど。屋外では、シクロクロスレースやクリテリウムも行われたよう。

競輪でもおなじみ『LOOK』社のブース
競輪でもおなじみ『LOOK』社のブース

ずっと昔、入門編のロードレーサーに乗っていた私。いろんなことに目移りして興奮気味。いけねっ、大事な取材がおろそかになっちゃう。急いで勇んで特設ステージに向かうと、客席はトラックナショナルチームのブノワ・ベトゥコーチ(46)と脇本雄太(30=福井)のトークショーを待つ人で埋まっていた。

3日に特設ステージで行われた、ナショナルチームのブノワ・ベトゥヘッドコーチ(左から2人目)と脇本雄太(右端)のトークショー
3日に特設ステージで行われた、ナショナルチームのブノワ・ベトゥヘッドコーチ(左から2人目)と脇本雄太(右端)のトークショー

ブノワコーチと脇本のトークショーは、司会したタレントだいまじんのリードもあって興味深い話が続いた。脇本が「100万円以上もするロードレーサーを年に3台も買ったことがある」と話せば、ブノワは「私は15台以上持っている」と互いに自転車好きをゆずらない。来年夏の東京五輪に向けてブノワコーチが「日本のみなさん、応援と支援が不可欠。五輪は、主催国は応援で10%ぐらい力が増して成功する」と話すと、脇本は「今年のKEIRINグランプリで表彰台の一番高いところへ。そして五輪で金メダル。応援してください」と呼びかけて大きな拍手が起こっていた。

『EZNI』社のブースで見本シューズを手に係員と話す鈴木美教(右)
『EZNI』社のブースで見本シューズを手に係員と話す鈴木美教(右)

競輪を統括するJKAのブースがあるかと歩いていると、なんと偶然にもガールズケイリンの鈴木美教(25=静岡)に出会えた。「インスタグラムを見て、急いで新幹線に乗ってきたんです」。お目当ては競走用シューズとのこと。同じ静岡県では渡辺雄太や、新田祐大らもひいきにした韓国『EZNI(イズニ)』社のブースを訪れていた。「注文し、12月中旬に届くということで楽しみ。次の別府(8~10日)と小倉(19~21日)は使い慣れたシューズで。特に小倉は頑張りたい」。2年連続2度目のガールズグランプリ出走へ意気込み、同時にその次へも視線を向けている。

経営するアンティークショップのブースを出展した為田輝昭(左)と、同じく元選手でこの日はお手伝いをする伊藤直幸氏
経営するアンティークショップのブースを出展した為田輝昭(左)と、同じく元選手でこの日はお手伝いをする伊藤直幸氏

自転車は乗るためだけじゃない。眺める物でもある。そんな思いを込めたブースがあった。千葉県佐倉市から出展した『TERRY,S CYCLE』は、テーブルにところ狭しとアンティーク部品が並んでいる。店員に「こんにちは」と声を掛けられ、懐かしさがこみ上げた。あっ!? G1日本選手権にも出ていた為田輝昭氏(千葉65期引退)と、やはり走りが堅実だった伊藤直幸氏(東京68期引退)ではないか。社の代表を務める為田氏は「中学の頃から自転車好きで、引退したら古いビンテージ物を扱う店をやろうと。カンパニューロ(イタリア)の部品とかね。値段は時価、応相談って物もあるよ(笑い)。今日は加賀山淳君が来てくれた。自転車好きの出合いの場になれたら最高だね」。金色や銀色にぴかぴか光る部品をなでながら、自転車愛を話していた。

競輪を統括するJKAのブース。VR走行をする人が見る映像が、前の画面に映し出されている
競輪を統括するJKAのブース。VR走行をする人が見る映像が、前の画面に映し出されている

競輪を統括するJKAのブースもにぎやかだった。人だかりをかきわけて見ると、固定ローラー台のようなところでペダルを踏む人がいる。伊豆ベロドロームをVR体験する会だった。ゴーグルを着けた参加者は、選手になってガールズケイリンに挑む。急角度のコーナー部に合わせて車体を寝かせ、最後の直線では汗だくになる参加者もいた。JKA広報によると「毎日、100人以上の参加があった。競輪にも慣れ親しんでいただけると思います」と効果を話していた。

千葉市ブース。2021年初頭に完成予定とされる250バンクの模型などが展示された
千葉市ブース。2021年初頭に完成予定とされる250バンクの模型などが展示された

競輪の関係者ならずとも、幕張メッセがある千葉市のブースは見逃せなかった。まさに、近未来を想像させるものがあった。全天候型の屋内ドームで、国際規格に準じた板張りの1周250メートル『CHIBA PARK DOME(仮称)』の模型やイメージ図が並び、紹介ビデオが放映されていた。千葉競輪を施行する千葉市とともに、事業を進める日本写真判定株式会社の担当者は「250バンクの完成は2021年の初頭を予定しています。千葉競輪場は場外発売をしているメインスタンドを残して、その他は取り壊されました。更地にした土地に250バンクを建設中です。10月1日に起工式と地鎮祭を行い、工事を進めています」と説明する。『250KEIRIN』の実現が一歩ずつ近づいてきた。

次回のフェスティバルは、もっと楽しむために下準備をしていこう。そして、脇本雄太の金メダル報告会が見たいな。また、ロードレーサーとか自転車に乗ってみようかな。秋の夜長にいろんな思いをしました。【野島成浩】