村上義弘が引退を発表してから初めて迎えるG3。新しい時代が始まる予感もあり、選手にどんな化学反応があるのか楽しみだ。

今回取り上げる浅井康太も、地区は違えど村上の影響を受けて今日に至る。

10年の向日町G3決勝。私と浅井がラインを組み、地元の村上と別線で走った。打鐘で先頭に出た浅井は、3番手に村上がいることを知ってか知らずか、そのまま先行。3番手の村上が2角からまくって優勝した。その当時、不調で苦しむ村上に向けた浅井のエールだったように思える。

その向日町G3の前年、浅井は村上の絶妙なアシストがあって(一緒に走った私がそう感じた)防府でG3初優勝した。このように、村上と浅井は地区を超えた信頼関係があった。


ヤマコウが特選12Rで本命に推す地元の浅井康太
ヤマコウが特選12Rで本命に推す地元の浅井康太

そして、浅井は今、落車で苦しんでいる。岸和田G1高松宮記念杯、名古屋G2共同通信社杯と落車が続いた。こんな時は気がめいるものだが、名古屋の後、すぐに雨中練習を敢行したらしい。

一流選手が引退すると、ベテランは自分の衰えも身近に迫っていることを実感する。そういった邪念を振り払う意味もあったのだろう。

特選12Rの浅井は坂口晃輔とタッグを組んで、新山響平、吉田拓矢、太田竜馬と対戦する。

吉田は内を狙い過ぎて積極性に欠けるし、太田は打鐘から駆けるタイプではない。新山の先行が濃厚なので、浅井は3番手が取れる。これまでの悪い流れを断ち切る意味でも、初日から勝ちにこだわってほしい。(日刊スポーツ評論家)

【ヤマコウの予想印】◎浅井康太 ○坂口晃輔 ▲吉田拓矢 ☆清水裕友 △太田竜馬