サッカー界が注目していた処遇がはっきりしたマンチェスター・シティーですが、再開した欧州チャンピオンズリーグ(CL)で早速レアル・マドリードを退けるなど、その力を見せつけました。

一時、欧州連盟(UEFA)主催の試合の2シーズンの出場禁止、罰金が言い渡されていましたが、7月のスポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場禁止の撤回と罰金減額の裁定をくだしました。気になるのは「どこからマンチェスターCの改ざん疑惑が垂れ込まれたのか?」ということです。現地の報道では、基本的に定期的なUEFAのファイナンス部分の確認作業の中から・・・というような形になっておりましたが、これがどうやらハッカーからのタレコミであったことが後々判明し、本来表に出るはずのない関係者間のやり取りのメールが暴露される形で報道されました。一体誰のしわざなのか?ということですが、日本にいるといまいちこの手のニュースがどこから出てきたものなのか見えにくい状況ではあります。しかし現地で仕事をしているとちらほらその出元に関する噂が耳に入ります。

すべて現地の報道ベースにはなりますが、どうやらこの手の情報リークはすべて「Football Leaks」というオンラインの暴露サイトによるしわざのようです。このサイトを調べてみると、サイトが始まったのは2015年11月。始めたのはなんとポルトガル人でこのサイトを開始した時点で25歳のルイ・ピントという男。インターネットで調べるとコードネームがあり、「ジョン」と呼ばれているようですが、基本的にはすべてハッキングということで、ポルトガルでは天才ハッカーとされているようです。いくつかのお金の流れがロシアを経由していたことから、ロシアに口座があるということまで判明しております。そのルイ・ピントが実は昨年の1月に違法にアクセスして機密を侵害したことを理由にブダペスト市内で逮捕されておりました。彼自身は「サッカー界に蔓延する不義な慣行を世に知らしめるためにこのような活動を行うようになった」とインタビューに答えており、「言論の自由」や「情報保護」も訴えています。そしてその活動を擁護する声もあります。


面白いことに記事を一つ一つ追っていくと、ロナウドやモウリーニョの租税回避ネタや、マンチェスターC、パリ・サンジェルマンの財務規則(FFP)違反の可能性などガ赤裸々にレポートされています。それ以外にも、昨年のCL決勝の直前にリバプールがとあるクラブのBチームと極秘練習試合をしていたということがレポートされていました。つまり仮想トッテナムとの練習試合を行ったということです。その仮想トッテナムとはベンフィカB。監督・関係者にリバプールによるトッテナムの分析レポートを伝え、セットプレーやフォーメーション、選手の動き方など完璧にトッテナムをコピーする形でプレーするように依頼していました。そして入念な準備ということにはなるのですが、こうしたことがすべて表に出てしまうということもあり得るわけです。SNSも含めて日本でも問題になってはおりますが、ネット上でのパパラッチが今までの想像を大きく超える形で働いている形になります。この情報化社会の新たな問題ともいえる、「隠しきれない」ことが今後どのような形で業界に影響を及ぼしていくのか非常に注視していくべき部分になると、個人的には感じております。

しかし、ポルトガル人のフットボールに対する力の入れようは本当に驚かされます。「もっと違う形でこの力を活用することができないものか」と首相が口にするのも非常によく理解できる気がします。