J3アスルクラロ沼津が、6月10日、鹿児島ユナイテッドFC戦に臨みました。結果は0-0。リーグ最多22得点の相手に、最少6失点の守備が機能。手堅く勝ち点1を手にし、吉田謙監督(48)も、内容の良さを強調しました。「選手たちはよく走りました。チャンスの回数も我々の方が多かったです」。

 この試合では、右肘関節脱臼から戦列復帰したエースFW青木翔太(27)が、後半18分からピッチに入り、3試合ぶりの出場。さらに、リーグ開幕を約1週間後に控えた3月3日の練習中、左ひざ内側側副靱帯(じんたい)損傷し、離脱していたDF尾崎瑛一郎(33)が、今季初のメンバー入りを果たしました。出場こそありませんでしたが、ベンチから声を張り上げ、ビッチ上の選手たちを鼓舞し続けていました。昨季はリーグ31試合に出場し、主将も務めた尾崎は、長期離脱中の率直な思いを打ち明けました。

 「年齢も関係しているのか、当初はここまで長引くとは思いませんでした。見えないところで焦りもあったと思います」

 ベテランゆえに、1つの故障が引退につながりかねない状況。それでも「完全復活」を目指し、意識的にフィジカルトレーニングを増やすことで、心肺機能のやコンディションの維持に努めていました。

 「待ってくれている人がいることが、自分のモチベーションになっていました」

 言葉通り、前節では復帰を待ち望んでいたサポーターから尾崎に対し、多くの声援が飛んでいました。プロ16年目のベテランは再びの定位置奪取に向け、力強く言いました。

 「これまでやってきた自信はあります。まだまだ若い選手には負けません」

 次節は17日、ホームの沼津・愛鷹広域公園多目的競技場でザスパクサツ群馬と対します。チームは3戦連続無得点で勝ちなし(2分け1敗)ですが、3位(1試合未消化)で首位鹿児島ユナイテッドFCとは勝ち点3差。しかし、ホームで2戦続けてスコアレスドローについて、尾崎は「負けに等しいです。次は積極的なプレーを見せたいです」と決意を口にしました。

 J1はW杯開催期間に合わせて中断(5月20日~7月18日)しますが、J2、3は中断することなく、日程を消化していきます。ストライカーと闘将が戻り、チームの厚みを増した沼津。暑さが厳しくなる夏場に向けての好材料で、まずは次節、4試合ぶりの勝ち点3を目指します。【古地真隆】


 ◆古地真隆(こち・まさたか)1993年10月14日、静岡県沼津市生まれ。今年2月、静岡支局員として入社。J3沼津、アマチュアサッカーを担当。スポーツ歴はサッカー、野球。