日本代表MF久保建英(18=FC東京)がA代表デビューを果たした。9日、キリンチャレンジ杯で日本(FIFAランキング26位)はエルサルバドル(同71位)と初対戦。久保は後半22分から途中出場した。18歳5日でのデビューは、98年にDF市川大祐が記録した17歳322日に次ぐ史上2番目の年少出場記録となった。今夏で東京を退団し欧州移籍を控える若武者がついにA代表のピッチに立ち、堂々とプレー。日本のサッカー史に新たな1歩がしるされた。

ゴールがなくとも、主役は18歳の久保だった。後半18分28秒。その瞬間を確信した3万8092人が沸いた。ウオーミングアップを終え出場準備でベンチに向かう。同22分、大歓声に迎えられてピッチへ。「最初のタッチは『これを失敗したら…』と思ったけど」。ひしひしと伝わる期待に、少しの緊張。それでも、直後のプレーでMF堂安にスルーパスでチャンスを演出。ボールに触れた瞬間、違いを生み出す。物おじしない、いつもの久保だった。

背番号27を迎えたスタジアムの雰囲気は、みるみる高まる。同28分には得意のドリブル。「入ってすぐだったので、いこうかなと」。狙い通りDF2人の間をすっと抜けた。左足を振り抜いたシュートはGKの正面で「浮かせようとしたけど、下にいってしまった。そこは残念」と悔しがりつつ「自分がやれることは、示せたのかな」。出場6分でゴールを脅かし、どよめきは止まらなくなった。

9歳で日本人で唯一、名門バルセロナ下部組織の入団テストに合格した。あのメッシでさえ入団は13歳。15年、13歳になって帰国するとエリート中のエリート「久保くん」としての過剰ともいえる注目が待っていた。「自分の場合は実力よりも注目度が高い」。少年は戸惑った。“天才”と騒がれる陰で地道なトレーニングを続け、18歳を迎えた今年、目覚めの時を迎えた。帰国時から身長は6センチ伸び、体重は15キロも増えた。ぶつけられても倒れない肉体を手にし思うままにサッカーができるようになった。覚醒ではない。“いつもの自分”を取り戻した。

今夏で東京を退団し欧州へ再挑戦する。すでにレアル・マドリード、マンチェスター・シティーなど世界最高峰クラブが獲得に動く。上々のデビューに「これから先、大きくなったら、自慢できるかな」と高校3年生の一面ものぞかせた。ただすぐに表情を引き締め「チャンスを決められなかったので、南米選手権ではゴールを決めたいと思います」と言い切った。22年ワールドカップ(W杯)カタール大会を目指して始まる9月のW杯2次予選でも、期待を寄せたくなるプレーぶり。どんな重圧を背にしても突き進む久保の、そして日本サッカー界の、新たな章が幕を開けた。【岡崎悠利】

◆久保建英(くぼ・たけふさ)2001年(平13)6月4日、川崎市生まれ。2歳でサッカーを始め、11年9月にバルセロナの下部組織カンテラへ。U-15インドネシア遠征で代表初招集。中学2年で東京U-15むさしに加入し、15歳でU-20W杯に出場。横浜に移籍中の昨年8月J1初得点。今季は東京で13試合4得点。173センチ、67キロ。利き足は左。