ザックジャパンがアウェー北朝鮮の洗礼に見舞われた。日本代表は14日、W杯アジア3次予選北朝鮮戦(15日、金日成競技場)に備え合宿地の北京から空路で平壌入りした。午後3時すぎに平壌国際空港に到着したが、通関の際に厳しい検査を受けて約4時間も足止めされるハプニングが発生。9月2日の同予選初戦に向けて8月末に北朝鮮が来日した際、日本側が徹底した荷物検査を実施したことへの対抗措置とみられ、入国完了は同7時すぎに。試合会場での公式練習が約3時間遅れの同8時から始まる異常状態に陥った。

 ザックジャパンがいきなりアウェーの洗礼を食らった。午後1時半すぎ(日本時間)にチャーター機で北京をたち、予定より早い3時すぎに到着。順調な移動になると思われた矢先だった。誰もが予測しないハプニングが発生。なんと通関に約4時間を費やす事態に陥ったのだ。

 待てど暮らせど手続きは終わらない。「細密検査」。入管職員のコンピューター画面に赤い表示がつき、選手、スタッフ、日本協会関係者の総勢49人は北朝鮮側が用意した2つのブースで入国審査を受けた。入国カードを見比べられ、住所や職業を細かく質問されると、書類に不備があったためか、ザッケローニ監督が困惑した表情でブースから引き返す一幕もあった。職員は「初めて入国する人も多く規定に従っているまで」と淡々と説明した。

 入国審査に約2時間。さらにその先には荷物検査などの税関が待っていた。チームで持ち込んだバナナやガム、袋入りラーメンなどの食料類が止められると、ターンテーブルに座り込み「もう3時間だ。どれだけかかるんだ」と嘆く選手も。故金日成主席と金正日総書記の肖像画が掛かる空港ビルに滞在中に3度の停電にも見舞われ、日没により建物内が真っ暗になると、気を紛らわせようとして拍手まで起きたほどだった。

 10月下旬に日本協会職員4人が打ち合わせのために平壌入りした際は、通関手続きは20~30分で終了していた。「バッグを全部開けられるようなこともなく、順調に入国できました」と話しており、通関手続きの大幅の遅滞は予想外のハプニング。ただ9月2日のW杯3次予選初戦に備えて北朝鮮が来日した際、日本側が制裁措置に従い徹底した検査を行ったため、今回の北朝鮮側の行動は「対抗措置」ともみられ、日本代表にとっては、とんだとばっちりとなった。

 報道陣の取材規制はあったが、日本代表の渡航準備は大きな障害もなく進んでいたはずだった。当初はこの日早朝6時半から北京市内の北朝鮮大使館で査証を取得する予定だったが、北朝鮮政府の配慮で休館日の12日午後に手続きを行い、約20分間ほどで選手、スタッフの査証を取得できた。

 前もって持ち込むことができない携帯電話などの通信機器は北京市内のホテルに置き、パソコンを持ち込んだ選手も数人だけ。今回はほぼ「手ぶら」の選手ばかり。日本代表では異例の光景だった。

 食料類の持ち込みが止められることはある程度想定されていたが、当初午後5時開始予定の公式練習が始まったのは異例の3時間遅れとなる同8時。DF槙野は「ある程度のことは覚悟してましたけど、こういうサッカー以外のところでの戦いがもう始まっているんだなという印象を受けますね」と話した。試合前にこのドタバタ。試合当日も何が起こるか分からない状況だ。