山形DF渡辺広大(28)が3日、7月に痛めた右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷から復帰し、紅白戦に出場した。5日のJ2讃岐との天皇杯2回戦に向け、1本目は控え組、2本目は主力組で15分ずつプレー。独特の甲高い声で守備をけん引した。「痛みはなかった。70%ぐらいだと思っている」。右だけ細くなった太ももに目をやりながら、気丈に振り返った。

 2度のリハビリに耐えた。3月の右膝手術後は同時期に膝を痛めたDF宇佐美、山田と3人で「膝会」を結成。一緒に走って汗を流し、食事に出掛けてつらい時期を乗り越えたが、今回は黙々と1人で取り組んだ。西野カナやミスター・チルドレンの曲を聴いて、折れそうな気持ちを必死につないだ。「筋トレはむしろ1人で黙々とできた。ケガしない体づくりができた」。

 崩壊した守備陣を立て直す。第2ステージで4度も3失点を喫している。「技術というよりはメンタルの問題。もっと落ち着いてやらないと」。早ければ5日の天皇杯2回戦からベンチ入りする。「選ぶのは監督だけど、戻ってきた以上、全部試合に出たい」。守備の柱と期待されるも、今季わずか出場3試合。「山形の門番」の本領発揮はこれからだ。【高橋洋平】