熊本地震から1年の14日、清水エスパルスGK六反勇治(30)が、高校時代を過ごした熊本への思いを語った。

 「サッカー人生の中で、すごくためになった3年間でした。そして、(熊本地震は)僕の人生観を大きく変えました」

 鹿児島県出身で、高校は熊本市内の熊本国府に進学した。中学までは主にフィールドプレーヤーだったが、GKコーチのいる同校に進学し、本格的にGKに転向した。寮生活を送りながら、練習に打ち込んだ末のプロ入り。2015年には日本代表入りも果たした。

 1年前、「第2の故郷」で起きた大地震。六反は、友人の自宅が全壊するなど、身近な人々が甚大な被害を受けたことを知った。発生から約1カ月半後、現地へ。支援物資を提供し、同県益城町の幼稚園でサッカー教室を開催した。被害を目の当たりにし、車が一般道を20~30キロ程度で走っていたことに驚いたという。「マンホールが飛び出ていたり、道路が起伏していたりして、(スピードを出して走ると)車が飛んでしまうような感じでした」。一方で、大変な状況にある友人から「友達の大切さや地域のつながりを確認できた」と前向きな言葉を聞き、逆に力をもらったという。

 六反は15、16年は、ベガルタ仙台に所属していた。東日本大震災の被災地で暮らし、「復興が進んでいないと感じるのに、月日がたつと、報道も少なくなる」と感じた。その現実も踏まえ、次節ホーム大宮アルディージャ戦(16日)における責務も自覚している。「サッカー選手として、熊本に届くような活躍をできるように、頑張らないといけない」。

 被災地、被害者への思いを胸に、六反は戦い続ける。【保坂恭子】