ジュビロ磐田FW小川航基(19)が、ホームFC東京戦でプロ初得点を含むハットリックを達成した。前半11分の先制点を皮切りに、後半27分の途中交代までに3得点。チームにルヴァン杯初勝利をもたらした。19歳8カ月18日でのハットトリックは、同杯最年少記録。U-20(20歳以下)W杯韓国大会(5月20日開幕)に臨む同日本代表のエース候補が、同2日のメンバー発表を前に猛アピールした。

 磐田の若きストライカーが爆発した。0-0で迎えた前半11分。FW小川航は、MFアダイウトンが放ったヘディングシュートのこぼれ球に反応。左足で押し込み、先制点を決めた。プロ2年目、公式戦9試合目の出場で迎えた待望のプロ初ゴール。「なかなか期待に応えられず『やっと』という気持ち。本当にホッとしました」とサポーターの大声援を浴びながら、両拳を握って何度もほえた。

 この1点で、U-20日本代表でもエース候補として期待される点取り屋の“血”が覚醒した。同22分。PKをゴール右隅に決めて2点目をマークすると、最後は後半17分だった。再びゴール前でこぼれ球に反応。右足トラップで冷静にボールを持ち直し、左足で相手GKの脇を抜いた。

 大会最年少記録となる19歳8カ月18日でのハットトリック達成。その快挙の裏には「名波塾」があった。小川航はチームの全体練習後、必ず名波監督とシュート練習を行う。元日本代表の指揮官からパスを受け、黙々と打ち込んできた。春本番を前に特訓の成果が花開き、「回転させた球や浮き球など毎回違うボールをくれる。確実に生きていると思います」と感謝した。

 この日、スタンドからはU-20日本代表の内山監督が視察。同代表では東京ユースFW久保に注目が集まるが、小川航は「同世代のFWで『自分が1番』と示したい」と強い自覚を胸にこの一戦に臨み、結果を残した。「良いアピールにもなったと思います」。来月2日のW杯メンバー発表を前に、強烈なインパクトを残した。【前田和哉】

 ◆小川航基(おがわ・こうき)1997年(平9)8月8日、横浜市生まれ。大豆戸ジュニアユースから桐光学園を経て16年に磐田入団。昨年10月のU-19アジア選手権(バーレーン)では3点を決め、初優勝でのU-20W杯出場権獲得に貢献。J1通算3試合無得点。183センチ、70キロ。

 ▼ハットトリック 磐田FW小川航基(19)が、26日の東京戦(ヤマハ)で達成。ルヴァン杯で今季初、通算39度目(ナビスコ杯時代含む)。19歳8カ月18日でのハットトリックは、浦和FWエメルソンの21歳26日を抜く同杯の最年少記録で、10代の選手の達成は初。なお、J1リーグ戦の最年少ハットトリックは、G大阪FW松波正信が93年11月20日の市原戦で記録した18歳11カ月30日。