北海道コンサドーレ札幌は後半ロスタイムに追いつき、敵地で勝ち点1をつかんだ。3試合ぶりの勝利はならなかったが、ガンバ大阪と1-1で引き分けた。前半18分にPKで先制され、押し込みながらもゴールが遠かったが、右シャドーで5試合ぶりに先発の都倉賢(32)が後半50分に同点ゴールを決めた。8勝8分け5敗で勝ち点32。負ければ9位転落の一戦で踏ん張り、順位は1つ後退も6位に踏みとどまった。

 土壇場で意地を見せた。勝利を確信していたG大阪にため息をつかせたのは、都倉の勝負強さだった。後半ロスタイムの表示は5分、試合終了間際の瀬戸際だった。DF進藤から右クロスがゴール前に送られた。ファーサイドで都倉が相手に競り勝つ。頭で合わせると、ゴール右へたたき込んだ。ヘディング弾で同点に追いついた。「チームとして最後までゴールに向かう姿勢が、あのゴールになった」。一丸でつかんだ勝ち点1を誇った。

 決定力不足が響いた。前半14分、ペナルティーエリア右から都倉がシュートを放つ。相手GKがはじいたこぼれ球にFWジェイの反応が遅れ、シュートは力なく決まらなかったように、試合を通してチャンスを多く作っていたのは札幌だった。相手の2倍近い19本のシュートで敵陣深く押し込んだ。だが、ゴールを割れない。ペトロビッチ監督は「この内容なら本来勝利しなければならない。(勝ち点を)2ポイント失った」と、勝ちきれない、消化不良の結果に悔しさをにじませた。

 今季は後半ロスタイムのゴールが目立つ。チーム5得点のうち、4得点を決めているのが都倉。その理由を「今年は押し込んでいる試合が多い。押し込むと相手の足が止まる。うちの方が勝利に向かうベクトルの矢印の強さが違う。偶然ではない」と言い切る。U-21日本代表で不在のMF三好に代わって5試合ぶりに先発した試合、与えられた90分間を最後の最後まで無駄にしなかった。

 3試合遠のく、あと1歩の白星のために-。都倉は「ミシャはチームづくりはできても、ゴールとかセンタリングとか、技術は小学生の監督じゃないので教えることができない。プロとして生き残る1人1人の最低限のスキル」と、自らにも言い聞かせるように口にした。次節、19日ホームFC東京戦では、背番号9が歓喜を呼び起こす。【保坂果那】