プレナスなでしこリーグ1部が21日に開幕。新潟レディースは伊賀とホームのデンカビッグスワンスタジアムで開幕戦を戦う。チームの大黒柱、元日本女子代表のMF上尾野辺めぐみ(33)は在籍14年目のシーズンを迎える。悲願のタイトル獲得へ、衰え知らずのベテランがチームをけん引する。

気力、体力ともに充実して上尾野辺はシーズンを迎える。「今年は雪が少なかったので、ずっとグラウンドで練習できた。いつもよりいい感じ」。栃木、茨城で行った開幕前のキャンプでは、しっかりと走り込んだ。コンディションに不安はない。

昨季は主にボランチでプレーしたが、今季はキャンプの実戦から「いちばん得意」というトップ下に入った。今季から指揮を執るのは、7年ぶりに復帰した奥山達之監督(43)。「何を求められているかは分かっている」。選手として成長させてくれた指揮官の下、万全の準備をしてきた。開幕の伊賀戦、「初戦は難しいが、しっかり勝ちたい」と気を引き締める。

「そろそろなにかタイトルを獲得したい」と言う。在籍14年目で、チームではFW大石沙弥香(33)と同学年の最年長組だ。過去4度の皇后杯準優勝、14年のリーグ戦過去最高順位の3位を体験。チームの中心にいて、あと1歩の思いを重ねてきた。「今は吸収するより、経験を生かす年齢」。練習中、奥山監督の指示を理解しきれない若手には、直接言葉をかけて教える。潤滑油になることで、チーム力アップを支える。タイトル獲得のため、それも役目の1つになった。

昨季はリーグ戦18試合、なでしこリーグ杯8試合、皇后杯3試合の公式戦全29試合に、チームでただひとりフル出場した。今季もピッチに立ち続けることが自身のノルマ。鉄人的な存在感だけでなく「得点にはこだわる」。昨季はリーグ戦3得点だったが1部での自己最高は11年の9得点。「2ケタは取りたい」。個人目標のクリアを、そのままチームの勢いにつなげる。【斎藤慎一郎】

◆上尾野辺(かみおのべ)めぐみ 1986年(昭61)3月15日生まれ、神奈川県出身。神奈川県商工高では大和シルフィードに所属。武蔵丘短大では04年のインカレ女子で準優勝。06年に新潟レディースに入団。11年W杯ドイツ大会の日本代表に選出され、優勝を経験。17年から新潟レディースとプロ契約。157センチ、51キロ。背番号10。