「ブラサカ界の澤穂希」こと菊島宙(そら、17=埼玉T.Wings)が8ゴールをマークした。日本代表のエースとしてアルゼンチン選抜戦に出場。前半は2点にとどまったものの、後半に6得点と爆発し、チーム全得点をたたき出して8-0の勝利をもたらした。

菊島は底抜けに明るい“宙スマイル”で圧倒的なゴールラッシュを振り返った。「うーん、気持ちよかったのは1点目でした。後半はよく覚えていません。ブチ切れていたので、はい。全部右足? そうですね、左足を忘れていました」。前半9分、右45度から右足で突き刺した先制シュートをベストゴールに挙げたが、すごかったのは後半だ。

開始直後にハットトリックを達成した後、接触プレーで転倒して後頭部を強打し、一時ベンチへ。残り6分で再出場すると立て続けにネットを揺らした。納得のいかないジャッジで反則を取られたことで闘志がメラメラ。中盤にポジションを取って左右にパスを散らすなどチームメートを巧みに動かした前半とは一変、終盤の5連続ゴールで本領を発揮し、客席のどよめきを誘った。アルゼンチン選抜を率いる元同国代表GKのアチャチェ監督も「日本には別次元の選手がいる。まるでメッシだ」と、母国の英雄の名を挙げて絶賛した。

新たな目標ができた。今年11月、ナイジェリアで女子初の世界選手権開催が決まった。「しっかり準備して(優勝を)取れるよう頑張りたいです」。競技人口の少なさから女子の国際大会はこれまで行われていなかったが、ついに世界一の座を目指せる機会がやって来た。一昨年のアルゼンチン選抜戦で6得点、昨年の世界選抜戦で9得点、これで女子代表7試合で通算29ゴールのストライカーが、ついに世界へ飛び出すことになる。