町田ゼルビアに新加入したGK秋元陽太(32)が堅守を披露し、開幕戦を無失点で乗り切った。

前半21分、スルーパスからヴァンフォーレ甲府MF泉沢が抜け出した。切れ味鋭いドリブルが持ち味の相手に対し、冷静に前へ出て間合いを詰め、相手が右へ転がしたシュートを間髪入れずにセーブした。

ここで先手を取られていたら厳しい展開になっていただけに、まさにチームを救うファインプレー。まさに「守護神」と化した。

その後も相手クロスボールをことごとくキャッチし、まったく危なげなく90分間を乗り切った。元日本代表DF水本らDFラインとの連係もばっちり。甲府の190センチ長身FWラファエルの高さを封じ込め、付け入るスキを与えなかった。

秋元は、泉沢と1対1になった場面について「前日に映像でしっかり見ていたので分かっていた。自分のタイミングに誘い込めた」としてやったりの表情。勝ちきれなかったが「ゼロで抑えられたのはよかった。長いシーズン、まだ1試合だけですから」と話した。

J1昇格を狙う今季、自らの経験を余すことなく伝えていく考えだ。

「このチームには能力の高い若手が多いですが、この試合で言えば、まだまだ球際が甘い。上で戦うにはもっと厳しくいかないといけない。大事なことは人任せにしない、です」

東京・町田生まれだが、横浜F・マリノスユースで育った。横浜、愛媛FC、湘南ベルマーレ、FC東京、再び湘南へと渡り歩き、J1でリーグ戦通算167試合に出場した経験豊富なベテラン選手。33歳になる年に初めて故郷でプレーすることを選択した。迎えた2020年の開幕戦は、また格別なものだったに違いない。

髪を短く刈りそろえ、整髪剤でピチッと固めた。ヒゲもきれいに整えられ、決意が表情からも見て取れた。ただ、その言葉は守り同様に堅実だ。

「特別なことはしません。毎日、積み重ねていくだけのことです」

地元の友人が多く駆けつける中、その存在感をアピールした秋元が、町田の躍進を支えるカギとなりそうだ。