桐蔭横浜大は明大に0-2で完敗した。13日にチームの分析担当で、骨肉腫と闘い続けた増尾健さんが20歳で死去。キックオフ前は、センターサークルで両チームのイレブンが黙祷を捧げた。

増尾さんを勝利で送り出すために桐蔭横浜大は勝ちたい気持ちを前面に出したが、明大の堅守を崩せず、逆にセットプレーから2発を浴び敗れた。

安武亨監督は「明治は強かった。いいゲームで送り出したかった。その思いだけだったが、我々の強い思いを明治が上回って強かった。後期に向けていい目標が出来た。明治より強くなれるように頑張りたい。悔しいです」と振り返った。

増尾さんは中学2年で骨肉腫を発症した。大好きなサッカーをプレーすることはあきらめるしかなかったが、高校時代から分析担当としてサッカーに関わり続けた。桐蔭横浜大でも分析を担当。手術して回復しては、転移が見つかった。それでもサッカーへの思いは揺らがず、毎試合、チームを分析し選手たちへフィードバックを続けてきた。体調のいい日はグラウンドに顔を出した。最後は、チームメートが増尾さんに激励のメッセージを送り続けたが、力尽きた。

プロ注目のエースFW山田新(4年)は「タケシ(増尾さん)は1学年下ですが、本当にサッカーが好きで。サッカー部の中で一番サッカーが好きなぐらい情熱を注いでくれた。急だったので、本当にショックだった。もっとタケシのために、走ったり戦ったりしないといけなかった。今後も自分たちのことを見てくれていると思う。たけしのサッカーの愛を引き継いでやっていかないといけない」と思いを語った。

そして、最後に「病気でサッカーできない選手がいる中で、健康でサッカーが出来ていることが幸せであると感じながら、全学生はプレーしてほしい」と自らに言い聞かせていた。