初出場初優勝に挑んだFC町田ゼルビアが、敵地でアルアハリ(サウジアラビア)に延長戦の末に0-1と敗れた。

相手に退場者が出て数的優位となったが、逆に延長前半6分にクロスボールから失点した。24年横浜F・マリノス、25年川崎フロンターレに続き、Jクラブ勢は3大会連続の準優勝となった。アルアハリは史上5クラブ目の連覇を達成し、優勝賞金1000万ドル(約16億円)を獲得。準優勝の町田は400万ドル(約6億4000万円)を手にした。

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相馬勇紀(29)は青ざめていた。後半31分の左CK。頭上から物が次々と降ってきた。地面から拾い上げたのは金属製のキーホルダー。主審に身の危険を訴えた。

後半23分に相手選手がイエンギへの頭突きで退場となった。数的優位に立ち、反転攻勢に出た最中に起きた。6万2000人収容の敵地「キング・アブドゥラー」は満員の完全アウェー。戦っていたのは相手チームだけではなかった。

直後のショートCK、練り込まれたトリックプレーで信じられないミスが出た。相馬は短くボールを味方に預けた後、クロスする動きで中山と進路が重なった。顔面を激しくぶつけ合いボクサーのように2人はピッチに倒れた。勝負どころで表面化した心理面の重圧。黒田監督は「相手にのまれないよう強いメンタルで戦った。ただ難しい試合になった」と吐露した。

Jクラブ勢は3大会連続で決勝で敗れた。中立地を意味する「セントラル開催」とは名ばかり。アラブの地で日本勢が中東に勝つことはハードルがより上がる。日本のような緑のじゅうたんのピッチはない。高温ゆえ芝生の発育状態は悪くボコボコ。組織だった技術を駆使するチームほど苦戦する。スタジアムも日本のように子ども連れの家族が楽しめる安心安全な場所とは言えない。野太い声が圧力となって襲いかかる。

ACLE決勝トーナメントは29年までサウジアラビア開催が決まっている。34年W杯を開催する同国は、天然資源による潤沢な資金力を国家事業としてサッカーに投下。積極的に大会を誘致し、クラブの強化も進める。同国1部リーグ18チーム503選手の総市場価値は約2100億円(トランスファーマーケット参照)。J1は20チーム697選手で総額約578億円だけに、その差は歴然だ。

そういう背景を踏まえれば、町田の快進撃は称賛されるべきもの。持ち前の守備力をベースにJ1昇格から3年目にしてアジアの頂点にあと一歩と迫った。黒田監督は「相手の集中力が生み出した1点。その1点が我々には本当に近いようで遠い」。数的優位で町田に追い風は吹いた。しかし地の利は覆せなかった。

◆26-27年のACLE 24日に出場枠が現行の24から32に拡大することがアジア・サッカー連盟から発表された。日本勢は3チームが本大会から、2チームがプレーオフから出場する。Jリーグは拡大が発表される前の25年5月に本大会からの出場が25年J1優勝(鹿島)、26年J1百年構想リーグ優勝(未定)、25年J1準優勝(柏)とし、下位大会に当たるACL2には25年度の天皇杯優勝チーム(町田)が出場するとしていた。なお、26-27年のACL2には本大会から1チームが出場する。

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