初の中東開催となった試合で〝地元〟サウジアラビアが、史上最高の選手FWメッシ(35=パリ・サンジェルマン)率いるアルゼンチンに逆転勝ちした。

アルゼンチンが前半10分、メッシのPKによる得点で先制した。その後もFWラウタロ、メッシがゴールを奪うも、次々とオフサイドのVAR判定で取り消された。防戦一方のサウジアラビアは前半を最少失点で何とか乗り切った。

しかし後半に入ると状況は一変した。サウジアラビアは後半3分にシェヘリの得点で同点とすると、同8分にS・ドサリが左サイドからのカットインで豪快なシュートを決め、試合を逆転した。

その後もメッシら強力なアルゼンチンの攻撃を受けるも、GKオワイスが好セーブを連発。8分で表示されたアディショナルタイムは、負傷者対応などで約15分にも及んだが、チーム全員が引いて守り、次々とシュートを跳ね返した。最後までオワイスの堅守が光った。

ここまで国際Aマッチ36試合無敗を誇っており、今大会も優勝候補に挙げられたアルゼンチンから大金星を挙げた。下馬評を示すブックメーカーの優勝オッズでは、アルゼンチンの6・5倍に対し、サウジアラビアは501倍。W杯史上では1966年イングランド大会で北朝鮮がイタリアを破り、2018年ロシア大会では韓国がドイツを破るなどのジャイアントキリングはあったが、今回のものが最大と言えそうだ。

今大会はここまでアジア勢は大苦戦。21日にはアジアのイランが、イングランドに2-6で敗れている。サウジアラビアも強豪国相手に劣勢に回っており「アジアきついな」との声も挙がっていたが、初の中東開催で思わぬジャイアントキリングが誕生した。

◆FIFAランキングに見る「番狂わせ」 51位のサウジアラビアが3位のアルゼンチンに逆転勝ち。前回大会では57位の韓国が1位のドイツに1次リーグで勝利し、開催国の70位ロシアが決勝トーナメント1回戦で10位のスペインにPK戦の末に勝利している(記録上は引き分け扱い)。過去のランキング最大差勝利は「74差」。10年大会で開催国の83位南アフリカが9位のフランスに2-1で勝っている。