奇跡の復活劇は人口1万5000人の故郷に勇気を届けた。

1次リーグD組で、デンマークのMFクリスティアン・エリクセン(30=マンチェスター・ユナイテッド)がチュニジア戦にフル出場。かつて心停止によって「私は5分間死んでいた」と漏らした男は、11度のCKを全て担い、左足で強烈なシュートも放った。4700キロ離れた地元ミゼルファートの人々に、生き様を見せつけた。

昨年6月の欧州選手権1次リーグで突然倒れたが、70グラムの植え込み型除細動器(ICD)を装備する手術を敢行。不死鳥のごとく、3度目のW杯に戻ってきた。英メディア「The Atheletic」によると、氷点下の故郷では100人が集まって観戦。市民のラスムッセンさんが「彼は謙虚で変わらない。私たちの誇り」と胸を張り、ジャンセン市長も「重要なのはW杯で勝つことではなく、人生で勝つこと。彼はそれを繰り返している」とたたえた。

ただ、結果はスコアレスドロー。キャスパー・ユルマンド監督は試合後「最後にプレッシャーはかけられたが、満足していない」と悔やんだ。次は白星を届けるべく、前回王者のフランスに挑む。