日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に敗れ、頂点を目指した戦いを終えた。「最高の景色」には届かず、大会を去ることになった。その要因を探るべく、連載「見果てぬ景色」と題して複数回お届けする。第3回は、代表活動を支える日本サッカー協会(JFA)のお金に関する話。ブラジルの事業規模や代表監督にかける費用を比較し、経済面から「W杯優勝基準」について考える。
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W杯北中米大会で、決勝トーナメント1回戦ブラジル戦に敗れてベスト32で敗退した日本。最終盤の失点で逆転負けし、ピッチ上で地力の差を見せつけられたが経済面でも「王国」に大きく水をあけられている。
日本サッカー協会(JFA)が昨年12月に発表した26年度の予算によると、協会の収入は225億円で支出は256億円。W杯関連費用がかさむことを念頭に31億円の赤字を見込んでいる。代表関連活動費は、前回大会の成績をベースに16強進出と想定して約83億円に設定。支出の約3割を占めている。
近年JFAは厳しい経営状況が続く。コロナ禍による打撃をもろに受けた20、21年度は10億円以上、22年度は約50億円規模の赤字となった。自社ビルを売却した23年度以降は黒字化が続いたが、W杯イヤーの本年度は赤字となる見通しだ。
ブラジルと比較すると、事業規模の差は明白だ。ブラジルサッカー連盟(CBF)はW杯イヤーでスポンサー収入が増えて約850億円の収入を見込む。代表関連費は不明だが、協会として約500億円規模を活用できるという。JFAの支出(256億円)の約2倍だ。日本と同じベスト32で散ったドイツの事業規模は約700億円。こちらも歴史が違うとはいえ、日本の3倍近い規模感となっている。
ブラジル代表のアンチェロッティ監督の推定年俸は約16億円。日本の森保監督は約2億円との差は大きい。JFAには、次の4年間を外国人に託す案もあった。元J1の横浜監督でプレミアリーグ・トットナム元監督時代に年俸約10億円だったアンジェ・ポステコグルー氏と接触も金銭面でのハードルが高く、早々に断念したという。
森保監督が日本を世界と戦える水準まで引き上げたように日本人路線が悪いわけではない。ただ森保監督以上の人材を国内で探すのは困難で、実際に続投要請の方針を固めている。後任探しをする上で、金銭条件によって外国人監督を選択肢から外さざるを得ない現状は世界一を狙う組織としては物足りない。多くの候補の中から、最善を選ぶことが強化を進める上で重要なはずだ。
森保監督が使うフレーズがある。「世界一を目指すなら、事務方も世界一でなければ」。過去7大会と比べて環境の充実度は確実に上がってきている。宮本会長は今年5月に「JFA成長戦略」として「31年には財政規模300億円」と掲げた。進化していることは間違いないが、最高の景色を見るために積み上げるべきものはある。【佐藤成】


