日本代表は決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に敗れ、頂点を目指した戦いを終えた。「最高の景色」には届かず、大会を去ることになった。その要因を探るべく、連載「見果てぬ景色」と題して複数回お届けする。第4回は、強豪国と日本のサッカー文化の違いについて。MF鎌田大地(29=クリスタルパレス)が「サッカーを国技に」と願うに至った背景を考える。

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6月29日、ヒューストン競技場。スタンドは黄色に染まっていた。場外を歩いても黄、黄、黄。およそ8割を占めた。日本サポーターの青は少数派。前半29分の佐野の先制弾で観客席は多くが静まり、後半11分、追加タイム5分の逆転劇に大きく沸いた。敗戦の直後、鎌田は「日本サッカーをもっと盛り上げて、国技になるぐらいにならないと(優勝は)取れない」と感じた思いを素直に明かした。ピッチ内外で屈していた。

「シンプルに力不足。選手のクオリティーはまだまだ足りない」。背番号15を筆頭に、多くの選手から“個”の不足が聞かれた。FWビニシウスら圧倒的な個性に、チームで対抗したが、上回れなかった。W杯最多5度Vのブラジル、前回王者アルゼンチンを例に出しながら「優勝を目指す国は、本当にサッカーが一番。下の年代で、運動の才能がある選手がみんなサッカーに行って競争している」と明かした。米国では大谷翔平がMLBで、八村塁はNBAで輝く。「日本はいろいろなスポーツに才能が散っている。土台が違う」と根本の違いを口にした。

フィールド外でも、差があった。ウォーミングアップから、両軍の声量は違った。カナリア軍団の一挙手一投足に、スタジアム中から声援が飛ぶ。熱い声は、黄色い選手たちの背中を確実に押した。3度目のW杯となった森保監督は、今回が日本の「国歌の音量は一番」と振り返る。しかし王国の圧にかなわなかった。

ブラジル人にとってW杯は人生最大級のイベント。中には仕事を辞めてまでW杯に足を運ぶ人もいる。何年もかけて貯金をして、W杯に全て捧げる人もいる。人生を懸けてW杯に臨んでいる。平均年間給与が日本の4分の1程度とも言われる国民が、首都ブラジリアの約8000キロ先にあるヒューストンに詰めかけた。距離をゼロにする熱量が、ブラジルにはあった。

背中からも熱が伝わる。黄色のユニホームに入った文字は「ロナウド」「ロナウジーニョ」「カカ」。現役選手より、歴代のレジェンドを背負う人が大多数。代表を応援し続けるプライドを感じた。そんな群衆が、太鼓を打ち鳴らしながらスタジアムのスロープを練り歩き、周囲の観客が呼応する。競技場はピッチ外から支配されていた。この日のスペイン-オーストリアでも、スペイン応援団が会場外を行進。同様に強豪国の空気がにじみ出ていた。

日本は、国としての熱狂が強豪には及ばなかった。例えば、日曜午後1時開始の第2戦チュニジア戦。学生たちは自身の練習や試合のためにリアルタイム視聴できなかった。ブラジルなら、皆テレビにかじりついている。もっと代表を応援する文化が根付かせたい。

強豪との差は、確実に小さくなっている。ピッチ外でも、もう一つ階段を上りたい。22年カタール大会で、アルゼンチンは優勝パレードに400万人を集めた。日本に1つ国技が増えた先に、競技場が青で染まり、優勝パレードをできる日がやってくる。【飯岡大暉】

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