陸上男子100メートル前日本記録保持者の桐生祥秀(25=日本生命)が布勢スプリントを翌日に控えた5日、会場の鳥取・ヤマタスポーツパーク陸上競技場で最終調整を行った。

「調子は悪くない。いつも日本記録は更新してやろうという気でいる。ベストを狙っていきたい。自己ベストを出せば、日本記録になる」。会場が絶妙な追い風が吹き、タータンも記録が出やすいとされるモンド社のものが使用されている。国内屈指の好記録が出ることで知られる大会だ。自己ベストは17年9月に出した9秒98で、日本記録は9秒97になる。いつまでも「前日本記録保持者」の肩書に甘んじているつもりはない。

争うライバルに山県亮太、小池祐貴、ケンブリッジ飛鳥、多田修平ら。まさに日本選手権(24日開幕、大阪)を占う上でも、重要なレースになる。「前哨戦。いい緊張感を持ってスタートに立てる」と語った。

9日の東京オリンピック(五輪)テスト大会ではフライングで失格となったが、悲観はしていない。むしろ、ポジティブに捉えられている。「0秒01秒でも、行こうという気持ちでスタートできていた。どうやったら落ち着いてレースできるのかという課題が出たことをプラスに考える。フライングについてテンションが落ちることはなかった」。3月の日本室内選手権60メートルで左膝裏に違和感出て、決勝は棄権で、さらに4月の織田記念では10秒30と不発もだった。その分、タイムへの欲は満ちあふれている。最高の弾みを付けて、五輪の最終選考会である日本選手権へと向かう。