柔道で五輪メダリストの姉2人を持つ上野姉妹の三女、巴恵(25=自衛隊、旭川南高出)が現役を引退していたことが5日、分かった。

 昨年11月の講道館杯全日本体重別選手権70キロ級で1回戦敗退。全日本柔道連盟の強化指定選手から外れたことで、16年リオデジャネイロ五輪出場は厳しいと判断し、決断した。「講道館杯はしっかり準備して順調に試合に臨めたのに負けてしまった。悔しいという感情が出てこなかったので決めました」と理由を話した。

 3姉妹の秘密兵器がついに畳を降りた。技の切れ味では、04アテネ、08年北京五輪を連覇した長女雅恵(36)、12年ロンドン五輪銅メダルの次女順恵(31)以上と早くからその素質は高く評価されてきた。高校総体3連覇、社会人になっても11年グランドスラム東京大会を制するなど同じ階級(70キロ級)だった長女の後継者と期待されてきたが、その一方で度重なるケガにも泣かされた。

 11年10月に姉2人も所属する三井住友海上を退社。退路を断って12年4月に自衛隊体育学校に入校したが、五輪には手が届かなかった。「結果を残せなかったことは残念だが、今は納得している。これから経験を生かして頑張っていきたい」と次に向けた。今後は海上自衛隊に入隊し、第2の人生を送る。