22歳の石川佳純(全農)が、大人の余裕で女子シングルス3連覇を達成した。準決勝で19歳の加藤杏華(十六銀行)をストレートで退けると、決勝では史上最年少の15歳で進出した平野美宇(エリートアカデミー)を4-1で下した。今大会は史上初めて4強に10代3人が勝ち上がったが、リオデジャネイロ五輪に向け、日本のエースの強さを誇示した。

 3-1で迎えた第5ゲーム。石川は4-9と平野美の反撃にあっても、まったく動じなかった。「今の中学生は強くなっている。後ろからどんどん上がってきているけれど、自分が成長し続ければ抜かれることはない。焦らずに出来たことは、私も成長できている部分」。一気に7点を連取して3年連続4度目の優勝を決めた。両拳を突き上げ、自分の額をポンポンとたたいて笑った。

 15歳の追い上げを楽しむかのように、分厚い壁となった。第1ゲームから4点連取で先手をとった。「私も小さい時からの経験があるが、若い子には出足を抑えれば大丈夫だと思った」と勢いを封じた。初決勝の平野美が会場のフラッシュ撮影を気にして集中力を欠いたのとは対照的に、冷静に対応した。

 平野美が試合後に「ラリーは通用した」と話したことを聞くと「先手をとっていたのは私。前よりは強くなっていますけれど、ラリーではまだ負けないです」とニヤリ。伊藤が平野美の攻撃的な強さを「中国人みたい」と形容したことにも「正直まだ違う。大人に比べればボールの質も軽い」と一蹴した。

 昨年9月のアジア選手権(タイ)では現地入り後に左太もも痛で欠場。12月のワールドツアー・グランドファイナル(ポルトガル)も首痛に苦しんだ。今大会も決して万全の状態ではなかったが「ケガの功名もあった」と言い切る。体の動き方、ケアの方法などを新たに学んで取り入れた。卓球以外でも英会話の勉強を開始するなど、世界で戦うための吸収力も後輩たちの追随は許さない。

 リオ五輪まであと200日。「全日本でいいスタートを切れ、楽しく自信を持ってプレーできた。個人も団体も金メダル目指します」。まだまだ世代交代を許すつもりはない。【鎌田直秀】