20年東京五輪開幕まで今日28日で1000日となり、日本が掲げる「金メダル世界3位」が見えてきた。東京五輪へのスタートとなる各競技の17年世界選手権がほぼ終了。柔道、体操など17種目で、平均年齢22・1歳の世界王者が誕生し「東京五輪の星」になった。日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部の山下泰裕氏(60)は27日に本部長として初めて大会組織委員会の会議に出席。目標の金メダル30個実現に向けて精力的に動いた。

 途方もない目標が、現実味を帯びてきた。五輪金メダル数世界3位-。日本は過去に64年東京大会と68年メキシコシティー大会で金メダル数世界3位だったが、その後は低迷。数も10個前後を推移していた。しかし、3年後へ強化は順調。官民の厚い支援を受けて、選手の成績も右肩上がりだ。

 13日、JOCの山下選手強化本部長は都内で行った講演で「個人的にですが、リオ(12個)の2・5倍はいける」と話した。JOCとしての詳細な目標は「各競技団体の意見を吸い上げ、来年に出したい」としているが、思わず30個という具体的な数字が飛びだした。常に慎重な山下氏も、手応えがあった。

 今月上旬の体操世界選手権、エース内村航平を負傷で欠きながらも、日本は3種目の優勝を果たした。これで、今季行われた世界選手権の優勝は17に上る。「五輪翌年の世界選手権はあてにならない」(高田裕司強化副本部長)が常識だが、今回は内容が良かった。

 柔道は東京で五輪連覇を目指す大野将平とベイカー茉秋がケガで欠場。女子レスリングの登坂絵莉もケガで休んだ。リオ大会の個人金メダリスト10人のうち7人を欠いての好成績。優勝者の平均年齢は柔道団体を除いて22・1歳と驚異的な若さ。山下氏は「若い選手が出てきたのがいい。東京につながる」と言った。

 この日、山下氏は東京・虎ノ門の2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会で行われた国内競技団体連絡協議会に自ら顔を出した。「目標達成には、地の利を生かすことが重要。大会会場の優先利用など組織委員会やスポーツ庁とも連携したい」と訴えた。出席が予定されていない会議に駆けつけたのは「できることは何でもする」という思いから。その目には64年の倍近い30個の金メダルが見えている。【荻島弘一】

 ◆金メダル世界3位になるには 種目数が300を超えた00年シドニー大会以降、金メダル3位国は中国28、ロシア27、ロシア23、英国29、中国26と30個を上回っていない。88年ソウル大会3位の米国34、92年バルセロナ大会のドイツ33は多かったが、その後ソ連など東欧諸国が崩壊。ドーピング違反者への厳しい対応もあって、金メダル獲得国が92年バルセロナ大会の37から昨年リオ大会には59と分散した。追加種目も空手の8以外は種目数が少なく、30個で3位以内濃厚、27個だったリオ大会の英国のように2位まで躍進する可能性もある。