宇野昌磨(19=トヨタ自動車)は2位に9・19点差をつける103・62点で首位に立った。

 「世界のUNO」がカナダのファンを酔わせた。宇野は地元の英雄チャンの後に最終滑走者として登場。ジャンプの3要素や全て最高のレベル4を獲得したスピンなど、ミスのないプログラムにスタンドは総立ちとなった。自己ベストに1・25点と迫る演技で首位発進。上位3人の記者会見で「集中をすごくしていて、何も覚えていない。今(座席に)座っていても、心臓が激しく動いている」。演技から32分が過ぎても、興奮は冷めなかった。

 極度の集中状態にありながら、ゆとりを持ち合わせた。代名詞の4回転フリップを決めると、演技中盤にかけてのダイナミックかつ繊細なステップ。会場のボルテージを高めながらも「休むつもりはないけれど、(体全体を使うより)ステップを踏もう」と意識し「滑りながら『(レベル)3だな』って思っていたら、やっぱりレベル3でした」と的確に分析していた。

 3月のプランタン杯から続く5大会連続のSP100点超えは、史上初の快挙だ。表現力などが評価対象の演技構成点も46・50点をたたきだした。スケーティングに定評がある2位チャン(同46・42点)と、表現力が魅力の3位ブラウン(同45・07点)を上回り「ジャンプよりも表現の方をうまくなりたい」。世界トップ級の安定感が、宇野を頂点へと導く原動力だ。