レスリングの伊調馨(33=ALSOK)が日本協会の栄和人強化本部長(57)からパワハラを受けていたとされる問題が、ようやく動きだした。日本協会は6日、都内で倫理委員会を開き、問題解明に向けた聞き取り調査を第三者機関に委ねることを決めた。倫理委員会のメンバーは金森仁弁護士ら5人で、同委員会が開かれたのは13年4月の公益法人化以来初だった。

 非公開で行われた倫理委員会後に対応した金森弁護士は「第三者機関のメンバーは一両日中に中立な弁護士らを選定したい」と話し「聞き取りは2、3週間で終え、その結果とその他の問題点があれば、まとめて協会に報告したい」と説明した。問題発覚直後に栄本部長の伊調に対するパワハラを否定していた日本協会だが、真相究明へ第三者の力を借りることになる。

 金森弁護士は調査対象者について「第三者機関が決める」と話したが、栄本部長や内閣府への告発状に登場するA氏、B氏らから聞き取りが行われるのは確実。さらに、伊調から話を聞く可能性もある。所属先を通して告発状への関与は否定したが「しかるべき機関から正式に問い合わせがあった場合は、ご説明することも検討したい」としているだけに、その証言内容が今後の焦点になる。

 この日、内閣府も告発状を出した関係者から話を聞く意向を明かした。第三者機関-倫理委員会-日本協会と続く調査は、簡単には終わりそうにない。さらに日本協会の内閣府への報告内容次第では、問題が泥沼化する可能性もある。