世界21位の錦織圭(28=日清食品)が赤土最高の舞台、センターコートで天敵を撃破した。過去3勝2敗と苦手にする同51位のブノワ・ペール(フランス)に6-3、2-6、4-6、6-2、6-3の約3時間の接戦を振り切り、3回戦進出を決めた。3回戦では同65位のシモン(フランス)と対戦する。錦織が全仏のセンターで地元選手に勝ったのは初めてとなる。

 敗れた15年全米1回戦の苦い思い出がよぎった。セットを奪った順こそ違えど同じフルセット。それも舞台は過去、地元選手に2戦全敗のセンターだ。しかし、錦織は決して折れなかった。「すごく難しい試合だった。最後は攻撃的に行けたので、悪い流れを変えられた」と振り返った。

 錦織はストロークをしながら、自分のリズムを取り、相手のくせを読み、作戦を繰り出していった。相手は奇をてらったドロップショットの連発に豪打。かと思いきやダブルフォールトや凡ミスを連発。逆に時速200キロを超すサーブでエースもあり、つかみどころがない。錦織は完全にリズムを失った。

 過去5度対戦し、相手のくせ者テニスは分かっていた。それでもはまってしまう自分に、第3セットを落としたゲームでは、ネットをラケットでたたきそうになるぐらい、フラストレーションがたまった。「本当にトリッキー。ドロップショットは、ほぼ取れなかった」。

 そこから立ち直らせたのはトップ10を3人破り、モンテカルロでは準優勝した今年の赤土での自信だ。下を向くことなく、冷静に相手を分析。「重いボールを深く送った」ことで、相手のミスを誘った。「テニスは、かなり気持ちの持ちようで変わってくる」。1月下旬に右手首のけがから復帰後、初の5セット試合も「速い展開だったので、そんなに体へのダメージはない」と意に介さない。関門突破で上位進出に大きな弾みがついた。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 1日午後5時55分から。2日午前0時から。男女シングルス3回戦など。ともにWOWOWライブ。生中継。