日本スケート連盟は29日、平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)で2連覇を達成したフィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が右足首のけがによりグランプリ(GP)ファイナル(12月6日開幕、カナダ・バンクーバー)を欠場すると発表した。診断によれば受傷した11月17日以降3週間の安静固定とさらに1カ月のリハビリを要し、世界選手権(19年3月、埼玉)の選考を兼ねた全日本選手権(12月21日開幕、大阪)出場も微妙な状況となった。

羽生の3年ぶりの全日本選手権出場に黄信号がともった。この日、日本連盟は羽生のGPファイナル欠場とともに、17日にGPロシア杯で負った右足首の診断結果を「右足関節外側靱帯(じんたい)損傷」「三角靱帯損傷」「右腓骨(ひこつ)筋腱(けん)部損傷」と発表した。けが直後にチームドクターが触診した結果とほぼ同じで、新たに分かったのは治療期間。「受傷後3週間の安静固定、その後リハビリ加療に約1カ月を要する見込み」とし、リハビリ期間と全日本選手権が重なることとなった。

羽生は17日、GPロシア杯フリー当日の練習で転倒し、負傷。痛みがある中で演技を通し、GPフィンランド大会との連勝で2年ぶりのGPファイナル出場を決めた。試合後には「3つのうち選んだのはこの試合」と、GPファイナル、全日本選手権欠場の可能性を考えた上で、試合続行を決めたと明かしていた。痛めた箇所は昨年と同じで、けがをしやすくなっている。完治しないまま全日本に出場するリスクは高く、欠場の可能性は十分ある。

16年はインフルエンザ、17年も右足首のけがで全日本選手権を欠場したが、いずれも実績により世界選手権、五輪代表に選出された。今季もその特例は選考条件に含まれている。19日に行われた理事会後、橋本聖子会長は「本人が一番いいようにできる環境を整えるだけ」。伊東秀仁フィギュア委員長は「(全日本選手権に)出なければその時に考える。ただ世界選手権を目指してやってほしい」とコメントしている。【高場泉穂】