富士通が最多タイの4連覇に王手をかけた。開始1分17秒にQB高木がWR中村への7ヤードパスで先制TD。

次の攻撃でもWR岩松にTDパスを決め、前半で17-0とリード。後半にエレコム神戸にTDを許したが、さらに2TDパスと畳み掛け、31-13で快勝した。12月16日の東京ドームでのジャパンXボウルに7年連続11度目の進出。オービックに並ぶ4年連続で5度目の優勝を狙う。相手は4年前に逆転負けしたパナソニックで、オービックに24-17で競り勝った。

富士通は1プレー目にエースRBグラントが、70ヤードの独走で一気に攻め込んだ。次のランはロスすると、3プレー目に高木が浮かしたパスで先制TDを決めた。「最初のランで楽になった。パスもあのTDが一番よかった」と振り返った。

高木はこれで波乗り、次の攻撃では5本のパスを決めて連続TDと、第1Q中盤で14-0とリードに導いた。グラントが再三のロングゲインで171ヤードをマーク。最大の勝因はこのランだが、高木は後半にも2本と、合計4TDパスを決めた。社会人王者へ大事な一戦でチームを率い、チームのゲームMVPに選ばれた。

17日のリーグ最終戦での全勝対決で、オービックに競り勝った。ところが、エースQBバードソンが左アキレス腱(けん)を断裂して今季絶望となった。高木が今季先発したのはオール三菱戦だけの控えから、V4の重責がのしかかる大役が回ってきた。「覚悟を決めた」が「人生最大のチャンス」とも捉えた。

慶大を15年に卒業すると東京三菱UFJ銀行に入社し、日本一を目指してオービックに入団した。富士通は14年にQBキャメロンが率いて初優勝。高木は「日本のNO1QBになりたい。それには国内トップのQBの下で練習が一番」と決意し、1年で富士通に転職して移籍した。

キャメロンが退団すると、昨年にはバードソンが入団してきた。成長はできたが、控えに甘んじた4年間でもあった。慶大でも関東NO1QBにはなったが、3位に終わっている。今度こそ、自分の手で日本一をつかみとりたい。そのチャンスがめぐってきた。

パナソニックには9月のリーグ戦で45-27で勝利している。山本ヘッドコーチは「チーム力は上がっていて、前回のようにはいかない」と警戒する。ともに攻撃力があり、「うちの速いテンポで攻め、しっかり得点していくことが大事」という。その鍵を握る高木。「この4年間で学んできたことをフィールド体現したい。2週間を大事に過ごしたい」と口元を引き締めた。