日本の小松原美里(28)小松原尊(29=ともに倉敷FSC)夫妻組が、自己ベストを更新して今季最終戦を締めくくった。

FD曲「ある愛の詩」を演じ切って迎えた得点表示。目標としていた大台に乗る100・82点を確認すると、美里は跳び上がって両手を上げて喜んだ。

冒頭の要素からスピン、リフト、ツイズルと最高評価のレベル4を獲得していき、これまでの99・79点を上回るキャリアハイ。それでも「最初のスピンでぶつかって。レベルには響かなかったけど、GOE(出来栄え点)は低くなっていた」(美里)と小さなミスがあったことを反省し、昨年日本国籍を取得した尊(ティム・コレト=米国)も「自己ベストは出たけど、自分たちのベストではなかった」と高いモチベーションで試合を振り返った。

演技後に行われたオンライン取材の一問一答は以下の通り。

-今季最後の演技を終えて

美里 このような難しい状況で大会を開いてくださって(感染症対策バブル方式で)守ってくださって、次につながる収穫が得られたので、心から感謝しています。

尊 すごく難しい時期。みんなと一緒に、日本の皆さまの前で演技ができて幸せでした。自己ベストは出せたんですけど、自分たちの本当のベストな演技ではなかったと思う。小さな失敗とか、いい勉強、いい経験になりました。

-午前練習では話し合う時間が長かった

練習はしっかりしてきてコミュニケーション力も上がっている。毎日、違った氷の感触を確かめながら、コーナーリングとか、ここは回りすぎてるね、とか情報交換しました。世界選手権ではうまくいったので。

-来季は22年北京五輪(オリンピック)シーズンとなる

美里 それこそ、振り付けだったり、プログラムを(リズムダンス、フリーダンスともに)2つとも変えようと思っているので。カナダに帰れない中で、振り付けとか、したことないことをすることになる。でも先生たちが親身になって聞いてくれるので、自分たちに合ったスタイルで存分に魅力を出して、自己ベストを出していけるように、できることをやっていきたいと思います。

尊 来シーズンは、音楽を決めることがすごく大事になると思います。まずは(アイスショー)『スターズ・オン・アイス』がありますが、ゆっくり休んでから、ゆっくり考えて決めたいと思っています。チームとして団体戦に出ることも大事なことだと思います。

-この大会で得られたものは

美里 世界選手権ではリズムダンスに集中して、フリーダンスで順位を落としてしまった。最低限の演技だった。ここでは両方、そろえられたかなと思っています。特にフリーでは、自分たちが大きく動こうとした結果の、小さくぶつかったり、だったので。小っちゃく動こうとしていたわけではないので、次につながると思います。

-今の話に関連して。詰まったところが一瞬あったのか

美里 最初のスピンが、大きく動いてから入って、お互いに行きすぎてしまって、ぶつかった。レベルには響いてないけど、GOEは低くなっていた。

-珍しいことか

美里 練習では全然、起こること。

尊 やったことないことでした(笑い)。

-ポジティブにとらえている要因は

美里 メンタル的なことでは、フリーを滑る前に(竹内洋輔)強化部長と話していて。毎日、見てくださっているし、隔離中もずっと。「リズムダンス、もうちょっと大きくできたんじゃないかな」とか「ここから次のステップに進むにはどうしたらいいか」とか、お話しをいただいて。その中で今日は大きくできた。小っちゃく縮こまっていたら進歩はないかなととらえているので、そういう認識で失敗をとらえています。

【木下淳、松本航】