22年北京五輪出場を目指す友野一希(23=セントラルスポーツ)には悔しさ一杯の優勝になった。

冒頭からの2本の4回転。トーループで転倒すると、サルコーでも大きく着氷が乱れた。「フワフワしていた。足が地に着かない感じで」と、異変を感じながら、やはりの失敗になった。フリーは125・34点、合計201・24点にとどまった。

理由は「雰囲気にのまれた」。最終滑走。前に滑る出場選手の得点をアナウンスで聞く度に、あまり結果が良くないのを分かっていた。「こういう時にちゃんとできないとだめだ。突き放すくらいじゃないと」と常々の課題に心を奮い立たせて出番を待ったが、「澄士君の顔を見てだめでした」。

引き上げてきた後輩の森口澄士の泣きそうな顔を見て「完全にやられてしまいました、本当に流されてしまった」。動揺したままリンクインしてしまったという。「澄士君は全然悪くない。もっと自分のことだけ、自己中心的くらいで、性格悪く競技に臨めたら良いなと思いました」と猛省した。

先週のジャパンオープンでは4回転にだけ意識をいきすぎた結果、他のジャンプやスピンなどがおろそかになった。今回の課題は「コンビネーションを全部決める」。後半の2本のジャンプは維持で2本目をつないだ。「後半は気持ち的には頑張った」と前向きな要素は得た。

「持っているものを全部出せるように、集中して出していかないと」。反省の優勝をへて、グランプリ(GP)シリーズへ向かう。