先月の第1戦スケートアメリカで、日本人同士のペアでは初の銀メダルを獲得した三浦璃来(19)木原龍一(29)組(木下グループ)が凱旋(がいせん)出場へ感触を確かめた。

曲かけではショートプログラム(SP)の「ハレルヤ」を流し、ツイストリフトから2人そろっての3回転トーループ、スロー3回転ルッツなど上々の動き。全体終了間際にはスピンで転んでしまい、あおむけになって笑う木原を三浦が手を引き起こす、ほほ笑ましい場面もあった。

GP2位の看板を引っさげての日本大会。木原は「前回はレベルの取りこぼしが多かったので改善してきました」。三浦も同じ課題に挙げ「今回はオール(最高評価の)レベル4が取れるように、スケートアメリカの自分たちを超えられるように頑張りたい」と意気込んだ。

前回は合計208・20点の自己ベストをマーク。木原は「1点でも上回れるように、209点を目指して2人で頑張っていきたい」と目標スコアも口にした。その大会では三浦が転倒して壁に激突。右膝から流血するアクシデントもあったが「打撲でしたので。あの時は膝を曲げられなかったですし(拠点のカナダに)帰ってからの練習も最初はそんなハードワークはできなかったんですけど、すぐスケーティングを再開できました」と三浦は心配を吹き飛ばした。

2年前のNHK杯は結成直後に出場。木原は「2、3カ月で出て、自分たちの力が全く分かっていなかった。その中でも、このまま続けていけば世界のレベルに追いつけるかも、とも感じていた。去年はコロナで自分たちの立ち位置が分からなくなったけど、今年は試合に出場できて自信が取り戻せている。成長は示せたのかな」と笑った。

こちらも日本人同士では初となるGPファイナル(12月、大阪)を視界にとらえている。木原は「狙える位置にいる」と実感しつつ「狙いたい場所ではありますけど。まずは前回の自分たちに勝つこと。1点でも上回れれば近づくと思う」と気の持ちようを語り、三浦も「先々のことを考えすぎると、足元が見えなくなる。自分たちにできることを最優先に頑張りたい」。無欲で滑れば結果はついてくる考え方だ。【木下淳】