世界女王の藤波朱理(19=日体大2年)が東京オリンピック(五輪)金メダリストを撃破し、レジェンド超えを果たした。

初戦となった準々決勝で、東京五輪覇者の志土地真優(25=ジェイテクト)にフォール勝ち。3-2で折り返した第2ピリオドでタックルから優位な体勢を作り、残り23秒に相手の両肩をマットにつけた。「倒したいと思って頑張ってきた選手。得意技のタックルで取り切りたかった」と振り返った。

これで同階級で五輪3連覇など実績を積み重ね“霊長類最強女子”といわれた吉田沙保里が樹立した119連勝(01~08年)を上回る120連勝に到達。準決勝もフォール勝ちして121連勝をした後、記録についてはこれまで通りに、「特に何も思ってない」とし、「今はほんとに目の前の勝ち、目標を達成すること、オリンピックあり、オリンピックで優勝するっていうことが自分の中で今の1番の目標なので。しっかり達成できるように、まず明日の決勝もしっかり頑張りたいと思います」と表情を変えずに述べた

日本協会が公認している藤波の連勝記録は、中学2年の17年9月から続いてきた。全日本女子オープン選手権(中学生48キロ級)から白星を並べ続け、21年10月の世界選手権では史上5人目の高校生女王に。内容も4試合すべてテクニカルフォール勝ち&無失点という無類の強さだった。

昨年6月の明治杯では2連覇し、決勝で節目の100連勝に届いた。そこから1年、昨年末には全日本選手権も完勝。今年もクロアチアやブルガリアの国際大会、アジア選手権を制し、同郷でもある吉田の記録に並ぶ快挙に“王手”をかけていた。

注目される連勝に関しては、かつても「自分が強くなることに集中しているので、そんなに意識していなくて。過去のことなので、前だけ向いて。目の前の試合で勝つことしか、自分自身を高めていくしか考えていません」と話していた。吉田の記録が世界の列強相手である事実に対し、自身は国内の中学時代からと自覚もしている。

次は、五輪4連覇で国民栄誉賞の伊調馨が打ち立てた189連勝が期待されるが、まず見据えるは来夏の夢舞台、パリ五輪。「無敗でパリまで行って金メダルを取りたい」。明日の決勝を制し、目標へと進む。

◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日、三重県四日市市生まれ。88年ソウル五輪代表候補だった父俊一コーチの影響で4歳から競技を始める。中学2年の全国大会(17年6月)決勝で伊藤海に負けて以来、全勝。いなべ総合学園高から今春、日体大へ。総合格闘家の兄勇飛(26)も元選手で17年の世界選手権男子フリースタイル70キロ級3位。大学の同じクラスには北京五輪スノーボード日本代表の三木つばきがいる。164センチ。