旗判定復活の影響はいかに-。柔道の全日本選手権(29日、日本武道館)の記者会見が28日に都内の講道館で行われ、有力選手らが出席した。

何よりの話題は、今年から延長戦を行わずに旗判定が復活した事。世界的には珍しい体重無差別で争う大会としての価値を向上する狙いから、1月に発表された。旗判定は17年に廃止され、前年までは規定の試合時間内に勝敗が決しない場合はゴールデンスコア方式の延長戦に突入していた。試合時間は4分から5分に延び、決勝は8分。反則となる指導の数は3から4に増える。国際大会で廃止されている「有効」は存続する。

2連覇がかかる王子谷剛志(30=旭化成)は「前に出る柔道を見せて自分らしさを全開に出せたら良い。ルールはとまどう部分が、選手、審判の先生方にあると思う。その中で確実にポイントを取って勝つ」と勝機をにらんだ。5度目の優勝となれば、山下泰裕の9度、小川直也の7度に次ぐ単独の3位となる。

20年覇者の羽賀龍之介(33=旭化成)は「自分が初めて出た全日本選手権ではいわゆる旗判定のルールだったのが、戻ってきたところがすごく選手としても感慨深いんですけど、限られた時間の中で勝負が決まるところで、しっかり自分の時間で密度を濃くしていくことが勝ちにつながる」と見据えた。同時に、「選手が準備できたのは4カ月。1年時間ある中で、戸惑いもあった。ルールで準備も変わる。見る人もルールを理解して見る事が価値につながる。今後どうしていくかも気になっている」とも指摘した。

昨年、代表選手の辞退届を提出し、いまは全日本選手権のみを目標に日々を打ち込んできた。「去年の全日本から個人戦を出ずに準備してきた。それだけこの大会にかけているものは大きい。先に先に攻めるのはそんなに簡単な事ではない。隙が出て負けた事もある。いかに自分の時間と分析をして技を打てるか」と見据えた。

15、18年と2度の優勝がある原沢久喜(31=長府工産)は「5分間でまとめきる。指導ポイントでは勝てないところもあるので、どれだけ有効打を打つことができるか。自分の展開をいかに作って試合を進められるかが重要」、22年準優勝の影浦心(28=日本中央競馬会)は「5分間の中でどれだけ自分のペースを多く作れるかが鍵。最初の1ターン目から休む事なく攻め続けられたら自分のペースが多くなる」、初出場で90キロ級の川端倖明(18=国士舘大)は「中量級の自分にはとても有利になったんじゃないかなと思う。最初から立ち技、寝技で勝負していきたい」と誓った。