男子200メートル平泳ぎで元世界記録保持者の渡辺一平(28=トヨタ自動車)が、復活の銀メダルをつかんだ。2分7秒70で2位となり、17年、19年大会に獲得した銅メダルを超えた。21年東京五輪落選など苦難を乗り越え、競泳ニッポンでは男子200メートル自由形銅メダルの村佐達也(イトマン東京)に続く表彰台。副将が今大会のチーム目標、複数メダルへ導いた。初出場の深沢大和(東急)は2分9秒21で6位にとどまった。
◇ ◇ ◇
身長193センチの大きな泳ぎで、世界の猛者を追った。渡辺は100メートルで7番手。それでも準決勝全体1位でつかんだ4レーンの好位置で、徐々に前へ出た。遠く8レーンを泳ぐ23年大会平泳ぎ3冠の覃海洋(中国)には0秒29届かなかったが、レース後は笑顔が見えた。日本出発前に「世界水泳追い込まれ組」と自虐で表現した男の意地だった。
200メートルはかつて北島康介氏が五輪2連覇を達成し、世界選手権を2度制した。渡辺も17年に2分6秒67の世界新記録を樹立。自国開催の東京五輪へと期待は高まったが、21年4月の代表選考会で切符を逃した。
1人暮らしの自宅で食事を食べられなかった。「欲を満たしたらダメだという考えに至った」。大分の実家に帰ると、母が抱き締めてくれた。「友人は“水泳の渡辺一平”ではなく“幼なじみの渡辺一平”として接してくれた」。周囲の温かさにふれた1カ月だったが、拠点に戻っても3カ月ほどは身が入らなかった。
22年秋から指導を受ける高城直基コーチは「大事なのは選手が楽しくプールに来ること」と考えを変えてくれた。練習は厳しい。それでも決勝で泳いだ同門の深沢らと、日々競い合った。苦しみを知った28歳が世界の表彰台に帰ってきた。
◆渡辺一平(わたなべ・いっぺい)1997年(平9)3月18日、大分県生まれ。佐伯鶴城高-早大-トヨタ自動車。200メートル平泳ぎは16年リオデジャネイロ五輪準決勝で五輪記録2分7秒22を出すも決勝は6位。17年1月に世界記録(当時)2分6秒67。17、19年世界選手権銅メダル。21年東京五輪は代表選考会3位で落選。193センチ、78キロ。


