24大会連続26度目出場の流通経大柏(千葉)が常翔学園(大阪第3)を19-14の逆転で下し、初の4強に進出した。2点を追う終盤、相手反則からPGではなく、ラインアウトからのモールで攻めた。相(あい)亮太監督(37)の指示とは違ったが、見事逆転トライに結び付けた。

後半26分、流通経大柏が12-14と2点差に迫り、常翔学園が反則を犯した。流通経大柏のプロップ葛西主将は、PGを指示する相監督をちらっと見た。それでも選手間で話し合い“スルー”。PGで逆転だったが「モールで行こう」と声をかけた。15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会の日本代表が、南アフリカ戦で終盤にスクラムを選択しトライを奪った劇的展開を回想させるようなシーンだった。

葛西は「迷いはなかった。ラインアウトに自信があったし、モールも何度も練習してきた」と言う。結果、モールで押し込み逆転トライ。さらに終了間際にも反則から、定石ではラインアウトかスクラムで保持し、蹴り出して終了だが、ここでも監督の指示に反し、そのままモールを選択。相監督は笑いながら「指示したつもりですが、全く無視してましたね。それでも選手が選んだ選択なら仕方ない。すごくうれしかった。僕の手を離れた」と納得したように、言った。

就任4年目の指揮官は当時中学生だった葛西らのもとに出向き「一緒にやろう」と声をかけた。「彼らの集大成が自分にとっても集大成」と言う。チームポリシーは「愛」。監督の名も“同じ”「あい」。ここでもグラウンド上の選択同様? 少しの違いはあるが、監督と選手にブレはない。仲間やラグビーを愛し、人のために尽くすことで自分が生かされる。その精神を共有しているからこそ、選手の選択を信頼する監督と決断に自信を持つ選手が共存できている。

準決勝ではAシード大阪桐蔭に挑む。葛西は「目標は日本一なので、まだ誰も満足してない」と言い切る。サッカー部も8強に進出。葛西主将は、サッカー部主将でJ1鹿島入りするDF関川郁万(3年)と同じクラス。大会前に「一緒に全国制覇しよう」と誓い合った。約束を果たすまで、お互い、負けるわけにはいかない。【松熊洋介】