先日、下関と若松、大村の3場でミッドナイトボートの開催(計5節)が発表された。実現すれば、午前8時過ぎのモーニングから、午後10時前まで舟券を買える。いよいよ来たか! と胸を躍らせた方や、もっと遅い時間までやってよ…と切望するファンもいただろう。四六時中、ギャンブルをしたい記者のような変人からすれば、とても、ありがたい話だ。住之江ナイター後に舟券を買えるなんて、ある意味、背徳感があっていい(笑い)。

ただし、禁断の果実に手を出したような気もする。選手を目指す若者が減るのではないか? という懸念だ。ミッドナイトボートは午後5時ごろまでファンを入れるため、完全な無観客ではない。しかし、ボート=無観客のイメージが広がるのは得策とは思えない。興味を持った人のライブ観戦の機会が減るし、10代の少年、少女が無観客のプロスポーツに魅力を感じるかどうか。若い世代にボートレースをどう売り込むかは、より大きな課題になる。

ミッドナイトを先に成功させた競輪界は、昼間の一般戦が赤字だったため、深夜開催にかじを切らざるを得なかった。一方で、ボート界はまだ体力に余裕がある。現場で取材をしていると、峰竜太らを代表に「ボートレーサーを子供の憧れの職業に」という心意気を感じる。ミッドナイトは売り上げアップに効果があることは間違いない。その上で、レーサー志望者の裾野が狭くならないように、業界の前向きなエネルギーを大事にしてほしいと願う。