ヤマコウこと山口幸二氏(日刊スポーツ評論家)は、鉄人・武田豊樹(42=茨城)に2年ぶり2度目のKEIRINグランプリ優勝を期待する。平原康多の仕掛けに乗って直線で力強く伸び、GP最後の切符をもぎ取った勝負強さを頂上決戦で発揮する。

【ヤマコウの時は来た!】

 ◆11R・KEIRINグランプリ 1年の長いトーナメントを勝ち抜いて12月30日を迎えた。各選手の気持ちが徐々に高まってきているのを感じる。

 GP出場権を懸けた最終決戦競輪祭。最後のG1を制した平原康多に賞金で食い込んだ武田豊樹。厳しい条件の中でよくぞ決めた。前検日の27日、岩津裕介が稲垣裕之-村上義弘の3番手に決めたが、それでも私は、今回の最強ラインは平原-武田だと思う。

 GPはG1と違って一発勝負。1年の締めくくりとして、自分の納得のいくレースができるかどうかの戦いだ。その先にGP王者があって1億円がある。いわば、称号やお金はあとから付いてくるということだ。納得いくレースをしようとする気持ちがないと、選手としての評価はどうしても下がる。そういった気持ちで戦える選手は誰か。私は、ラインの先頭を走る選手では、平原が群を抜いていると思う。

 賞金争いも後半に入った11月の京王閣G3。「よく聞かれますが、賞金のことは本当に気にしてないです。駄目なら来年頑張ればいいだけですから」と話していた。今年を逃したら来年、GPに出られるかどうか分からないと思って戦っていた私には、目からうろこだった。レース内容を振り返ると、勝ちを意識したら到底できないと思えるレースがたくさんあった。そこから今の平原像につながっている。

 番手に続くのが武田だ。年始から調子が上がらず、10月の熊本G3(久留米代替)2予では、ホームからの番手まくりとはいえ7着に沈んだ。見ていた私も何か寂しい気持ちになったが、本人はもっとショックだったろう。そこからよく立ち直った。

 この立川競輪場は直線が長い。通常のバンクの4角を回ってからゴールまで、2呼吸ぐらい長い印象だ。稲垣が先行態勢に入っても、直線の長さや勝ちを意識して、なるべく距離を稼ごうとするのではないか。4番手に平原が入っているが、そこを一気に行ける選手はいない。新田祐大や浅井康太、中川誠一郎はバックからの仕掛けになるだろう。直線が長い分、武田が差し切る。2度目のGP戴冠だ。

(日刊スポーツ評論家・山口幸二)