【栗田文人・車券放浪記】

◆12R 自信のなせる業だ。いかにも「雨の宮杯」らしい空の下、守沢が大先輩の佐藤に頭を下げた。「(新山の)番手を回らせてください」。

今が初のS班。過去の戦歴では遠く及ばない。昨年GP、5月函館G3初日特選など、自力の時を除けば同乗時は佐藤の後ろが定番だった。だが、今や競走得点では上になり、直前の別府では16年久留米以来のG3制覇と勢いでも上回る。番手を主張していいところまで実績を積み上げた。

受けた佐藤も快諾だ。「守沢はいい選手になった。トータルでいろいろ考えた結果、守沢が番手の方がいいと思った。自分は納得の3番手です」。かくして新山-守沢-佐藤という鉄壁の北日本ラインが完成した。

新装なった岸和田バンクは特徴が以前と変わったという。実戦を走った地元選手が言う。「軽いとか重いとか感想はまちまちやけど、タイムが出るようになったことは確か。3角のスタンドがなくなった影響か、バックの追い風が顕著になった。きつくてもホームで出切って先行したラインが有利やないかな」。

先頭の新山は「ナショナルチームではトップスピードを上げる練習が多いので、自分にはいいかな。ただ、それは(同じナショナルの)深谷さんも同じ。出られたらどうにもならない」。南関が分かれたことで唯一ライン3車になったこともあり、先行は新山。ならば、守沢が別線を止めながら差し切る。

3連単は(9)=(7)-全、(9)=(3)-全。