傷だらけのヒーローの誕生だ。北井佑季(34=神奈川)がG1初戴冠を果たした。
郡司浩平のおとこ気先行を利して番手まくり。ゴール後落車のアクシデントはあったが、初G1のタイトルを獲得し、KEIRINグランプリ(GP、12月30日・静岡)の出場権も手にした。
2着には神奈川3番手を固めた和田真久留が続き、大会3連覇を狙った古性優作は3着に終わった。
仲間の絆に応えた。北井佑季がG1初戴冠だ。
懸命にハンドルを投げ、ゴール線を1着で通過。歓喜が待っているはずだった。だが、3連覇を狙って襲いかかってきた古性優作と接触し、ゴール後落車。「ガシャンってなって、よく分からなかったけど、最後まで必死に走った」。傷だらけのヒーローが誕生した。
南関の先頭で仲間のために走ってきた男が、仲間のおかげでタイトルを手にした。「北井にタイトルを」。神奈川勢の総意だった。準決は松井宏佑が前回り、決勝は郡司浩平が北井の前を走った。
その決勝は、スタートで前が取れたことで神奈川3人の思いは一致。郡司は全開で逃げた。「郡司さんから、何が何でもという熱い気持ちを背中から感じました」。3番手の和田真久留も献身的に援護した。「真久留さんの思い、同県の仲間の思いを感じながら踏み切りました」。
担架で運ばれたため、ウイニングランはなかった。幸い診断は左肩部、左下腿(かたい)擦過傷で、大けがではなかった。会見場には包帯姿で現れた。でもそれこそが、北井らしい泥くさいG1初優勝だった。
二人三脚で歩んできた師匠の高木隆弘への思いを話すとき、言葉に詰まり、涙がこぼれた。「自転車に乗れない頃から、一から教えてもらった。まずは1つ思いに応えられた」。まだ恩返しは始まったばかりだ。
タイトルホルダーになれば自覚も芽生える。北井が神奈川を、そして南関を引っ張る。【中野公博】
◆北井佑季(きたい・ゆうき)1990年(平2)1月27日、横浜市生まれ。3歳でサッカーを始め、10年に当時JFLの町田入り。その後Jリーグで7年プレーした後、選手養成所119期生として21年5月に静岡でデビュー(3、6、1着)。22年5月弥彦でS級2班特昇。昨年9月向日町でG3初優勝。今回がビッグ初制覇。通算295戦153勝。通算獲得賞金は1億7540万2100円。169センチ、78キロ。血液型O。
































