寺田祥(41=山口)が逃げて人気に応え、準完全VでSG通算2回目、悲願の地元SG初制覇を成し遂げた。

地元勢のメモリアル優勝は11年福岡の瓜生正義以来。菊地孝平が道中で競り勝ち2着、菊地と競った新田雄史が3着に入った。

地元SG制覇へ、最後も完璧な逃走劇だった。トップタイのコンマ10の踏み込みでスリットを通過すると、そこからぐっと伸びて、1Mを先マイ。新田雄史や菊地孝平らに全く仕事をさせず、抜け出した。まさに完勝。しかし、重圧もあった。「一番苦手な追い風で、負けたらまずいなと。ほっとしました」と胸をなで下ろした。

17年若松メモリアルを再現したような、準完全Vの「テラショー劇場」。しかし、今回は平凡な70号機にキャリアボデー、シリンダーケースの大整備でギャンブルに出た。「エースモーターを作ってしまいましたね。普段ならしないけど。勝つならぶっちぎりで、と。思った通りの勝ち方ができた」。勝利への執念が超抜機を作り上げ、結果に結びつけた。

下関開催のSGを山口勢が制するのは71年(小林嗣政)までさかのぼる。それも全国地区対抗で、オールスター以前の時代。長く止まっていた歴史を動かした。今年SGでは初の有観客開催。ウイニングランではスタンドのファンの声援に応えた。「おそらく地元の方が応援してくれてるんだろうなと」。ガッツポーズも飛び出し、普段のポーカーフェースが少し緩んだ。

賞金ランクは4位に浮上。17年以来、3回目のグランプリ出場が濃厚になった。「ここまで来たら6位以内を目指したい。ここから頑張っていきたい」。年末の大舞台を見据え、テラショーらしくクールに締めくくった。【栗原ひろ人】

◆寺田祥(てらだ・しょう)1978年(昭53)9月20日、山口県岩国市生まれ。97年11月、81期生として徳山でデビュー。初優勝は99年7月桐生で、通算優勝は53回。G1優勝は6回。SGは17年8月若松メモリアルで初優勝。同期は池田浩二、佐々木康幸ら。166センチ、54キロ。血液型O。