長崎・大村ボートでSG(スペシャルグレードレース)のボートレースクラシックが、最終日を迎える。12R優勝戦は、1枠に女子レーサーの遠藤エミ(34=滋賀)が入った。

これまでのボートレースの歴史で、まだ女子レーサーがSGを制したことがない。男女が対等に勝負するボートレースで、歴史的な瞬間が間近に迫ってきた。今でこそ女子ボートレーサーは人気が定着してきたが、これまで幾度となく苦労があった。

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初めてボートレースが開催されたのは52年4月。今回のクラシックと同じ舞台の長崎・大村ボートだった。

その年の5月に初の女子レーサー、則次千恵子(引退)が誕生した。54年には女子限定のレースも行われたが、徐々に選手数は減った。その中で、74年に鈴木弓子(旧姓・田中弓子、引退)が9年ぶりにボートレーサー養成所へ入所。デビューすると一躍、人気となり、80年以降は、女子ボート選手養成の動きが活発化した。87年には初めて女子王座決定戦(現プレミアムG1レディースチャンピオン)が開催され、第1回の浜名湖大会は鈴木弓子が制した。

その後も鵜飼菜穂子(引退)が同大会を3連覇したり、山川美由紀、日高逸子、寺田千恵らが活躍して、女子戦線を引っ張った。

ボートレース人気は一時、低迷したが、約10年ほど前から少しずつ上昇。と同時に、女子レーサーの人気が上がり、選手数も増加した。最近では大山千広、守屋美穂、平高奈菜ら、ビジュアルと強さも兼ね備えたレーサーが多く登場。さらにファンの熱視線を浴びるようになった。

昨年12月28日現在で、全ボートレーサー1593人のうち、女子選手は241人と、全体の約15・1%を占める。その人気も手伝ってか、21年度のボートレース売上額は、5日終了時に2兆2168億3216万1100円を記録し、過去最高を更新した。

有名タレントらを起用したCMや、若いファン層が増えたこと、アプリなどを多用して投票しやすくなったのも大きい。

今回、遠藤エミが女子レーサーで初めてSGを制すると、さらにボートレースの認知度、人気は上がるだろう。