-初のボートレース体験

辻村ゆりな(以下、辻) それまでボートレースは全く知らなくてピットリポーターにデビューしました。初めてボートレースを見て、差しって何? まくりって何? ってところからスタート。何人で走るかも知らなかった。それが23歳の時。それから1年たって、ようやくちょっとボートレースを分かるかな、となった時、私の中で実況って究極の仕事だって思ったんです。しゃべりの仕事で一番難しい、専門性の高い仕事だって。

-なぜ、実況を目指したか

辻 しゃべりの仕事で食べていきたい、と思ったんです。実力で食べていける仕事をやりたいな、って思った。

-20年初頭から平山アナに師事して実況練習

辻 実況を目指してからはピットリポートが6Rまで、7~10Rまではピットで取材と撮影。11、12Rで実況の勉強をしました。自分で実況した文字起こしもしました。もう、最初は常にテンパって。最初の難関は(言葉が)途中で止まることでした。数字を何個か言い間違えると、あっ…、となって止まってしまう。400レース程度は(実況練習を)したと思います。根本にあるのは平山アナに初対面の時に言われた、「ちゃんと勉強すれば、一生食べていける仕事だからね」って言葉。それまで、アイドルをやっても、お芝居しても何か違うと、繰り返してきたので。伝えることで、やりがいもありつつ、お金も稼げて実力勝負のところで、やっていけたらいいのかなって思ったんです。

-そして、4月に実況デビュー

辻 私は、レースは見てても面白いですが、実況があったらより面白いんだって思うので。耳障りにならない的確な実況を目指したい。お客さまに愛される実況ができれば。デビュー節の感想? 練習と、本番は全く違いました。全然、うまくできなかった。技術的な部分はもちろん、緊張に弱いので、それが表に出ちゃって。いろんな人に(マイク越しに)緊張を伝えてしまった。それが初々しくて良かったと言ってくださる方もいたんですが、それって私が初実況だと知ってるからじゃないですか。普段、江戸川を見ないけど、好きな選手が出てるから見よ、って方から、何? この実況…ってなってるのが申し訳ないって。もうちょっと気持ちを落ち着けて行きたかったですね。「初実況頑張ったね」って言ってくださった方々に、あっ、うまくなった! って思ってもらえるように、近いうちになりたいと思います。それと、こんなに早く実況をさせてもらえたのは、江戸川ボートレース場の競走会(一般財団法人日本モーターボート競走会江戸川支部)さん、施設会社(関東興業株式会社)さん、施行者(東京都六市競艇事業組合、東京都三市収益事業組合)さんのご理解のおかげです。とても感謝しています。

-最後にグラドル時代から、今は気持ちが変わったか

辻 アイドル活動はしたものの、結局、殻は破れなかった。ライブ中も前へは行けず、自然と進行役的な立ち回り。その後、イベントMCを経験して、自分がメインではないことの方がしっくり来た。ボートレース実況も主役はあくまでもボートレーサー。今後は選手の特徴を理解してボートレースの魅力を伝えたい。結論からいうと、アイドル時代も今も本質的な部分はあまり変わってないですね(笑い)。

次回、辻村アナの実況予定は5月25~30日の江戸川ボート1~2Rだ。

◆辻村ゆりな(つじむら・ゆりな)1994年(平6)9月30日、埼玉県生まれ。27歳。立教大学現代心理学部映像身体学科卒。2015年4月「ミスヤングチャンピオン」2015ファイナリストとなり、グラビア界入り。アイドルユニット「ヤンチャン学園音楽部」として本格的にアイドル活動を開始。2016年9月「ヤンチャン学園音楽部」を卒業。2017年大学卒業と同時にグラビア活動を終了。2018年から江戸川ボートピットリポート担当。2020年に実況に興味を持ち始め、2022年4月江戸川ボートで実況デビュー。アイドル時代からの愛称は「しらたまん」。趣味はスタジオジブリ作品のグッズ集め、イラスト作成。

◆指導する平山信一アナウンサーの辻村ゆりな評 

辻村さんの印象は、見た目もそうだし、おっとりしてます。実況をやりたいと打ち明けられたのは、2020年1月くらい? 最初は全然駄目でした。後ろで聞いていても、番号間違えまくってるし。上達したな、と思ったのは今年の冬くらいですね。いわゆる人前に出してもいいかな、くらいの感じにはきたんで。デビューさせてみて? まだ全然若いし。デビューが若いのは、アドバンテージになる。今後の辻村さんに期待すること? もうデビューしちゃったんで、ここからは自分でやるしかない。ただ、やれる選択肢はいっぱいあるから、自分の中のいい、悪いを選択して。その中で一番いいなというのをチョイスしていけばいいんじゃないかな。お客さんに喜んでもらえるのが一番です。自分が望むのはファンに愛される実況ですね。