最終日12R優勝戦は、前田紗希(29=埼玉)が4コースからまくった清水沙樹に乗ってまくり差し、14年のデビューから8年で初優勝を飾った。

2着は谷川里江、3着は倉持莉々が入った。

エンジンが良くての優勝ではなかった。ファイナルは水面悪化のため、安定板使用の2周戦で争われた。厳しい水面状況で、4カド清水が一気にまくって前田にまくり差すスペースが空いた。「両サイド(清水沙樹、大橋由珠)には全然(エンジン的に)負ける感じでした。清水さんが行ってくれて。自分が行けなかった分は、(前田と同期の大橋)由珠が押してくれました。由珠に感謝します。何か、あれ? 優勝? って感じだったですが、みんなおめでとうと言ってくれてやっと実感がわきました」。

ウイニングランでは、うれし涙を何度も拭うシーンが見られた。「そうですね、ただ(初優勝が)こんなんでいいのかな、っていう感じは今でもあるんですけど。でも、自分がうまく回ったから、こういう結果というのもあったので。良かったのかなと思いました」。チャンスをモノにするハンドルワークが初優勝をたぐり寄せた。

この喜びは誰に伝えたいか、を問われ「そりゃ、お父さん(前田光昭)でしょ」と親子2代での優勝を飾り、満面の笑みで大好きな父へ最高のプレゼントを渡すこともできた。今後の目標は「コンスタントに舟券に絡んで、ずっと準優にも乗れるような選手になりたいと思うので。ちゃんと悪いエンジンでも出せるような選手になりたいと思います」と、しっかり、さらなるスキルアップを目指すことを誓った。

副賞として、高須クリニックからお肌を維持するビューティーケア利用券(30万円分)が進呈された。前田は目元を指さし「ヒアルロン酸をここに入れたいと思います。しわが気になるので」と話し、報道陣を笑わせた。

前田はTUGBOATプロジェクトという「ボートレースで活躍する女性選手とファンのエネルギーを社会に届ける!」をコンセプトとした慈善活動のリーダーも務めている。これまで「こども食堂」などに多くの寄付をしている。「(オリジナル)Tシャツを買って頂くことで、(その利益を全額寄付し)子どもたちを支援できるので、もっともっと広めたい。自分がレースを頑張れば、応援してくれる人も増えると思いますので」。前田はレースも慈善活動も全力で取り組み続ける。