ルーキーを即戦力として開幕から起用するチームが増えた。

今季のJ1はFC東京の18歳ルーキー、MF松木玖生(青森山田)が昨季王者の川崎Fとの開幕戦に先発し、話題となった。大卒新人の活躍が目立つようになった浦和は今季もMF安居海渡(22=流通経大)が先発。安居を含め、昨季の関東大学リーグを制した流通経大出身者が4人も開幕から出場した。2種登録、特別指定選手を含めると、計11人のルーキーがJ1のピッチに立った。

コロナ禍で外国籍選手の獲得が難しい中、新人に懸かる期待は大きい。2010年代はJ1全体で新人の開幕戦出場は1桁台で推移していたが、2020年からは10→12→11人と3年連続で2桁に到達した。

その象徴的な成功例がリーグ2連覇中の川崎F。2020年にMF三笘薫(筑波大=現サンジロワーズ)とMF旗手怜央(順大=現セルティック)が開幕から出番を得て大ブレーク。昨季もMF橘田健人(桐蔭横浜大)が主戦力としてリーグ優勝に大きく貢献した。

Jリーグのクラブと初めてプロ契約を締結した場合の新人の基本報酬は年額460万円以下。J1通算450分以上に出場し、年俸上限のないプロA契約に移行したとしても、初年度に限っては上限670万円。クラブとしては費用対効果を得ることができるというわけか。

今季も各チームがそれぞれの目標達成のため、新人を積極的に起用。大幅に選手が入れ替わった鳥栖は開幕からDF菊地泰智(22=流通経大)ら大卒新人が3人出場した。7位に躍進した昨季の主力の穴埋めは簡単ではないが、今季加入の6人の大卒新人に即戦力として大きな期待がかかる。

開幕戦で鳥栖と対戦した広島も大卒新人のMF仙波大志(22=流通経大)が先発。新人の開幕スタメンはクラブでは1996年のDF影山貴志(大商学園)以来、実に26年ぶりだった。また、2023年の入団が内定している特別指定選手、DF中野就斗(21=桐蔭横浜大在学中)も後半途中から出場。今季の広島は新外国籍選手の補強がないまま開幕を迎えたが、既存の戦力の奮起だけでなく、新人がどこまでプロで通用するかが注目される。

一方、実績十分の選手を数多く補強した昨季2位の横浜、3位の神戸、5位の名古屋は新人の開幕戦ベンチ入りは0。これらの「ビッグクラブ」は別として、各チームとも「コストパフォーマンス」に優れた新人のさらなる台頭が浮沈の鍵を握りそうだ。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

〈今季J1開幕戦に出場した新人〉(2種登録、特別指定選手含む)

▼東京

MF松木玖生(青森山田高)先発

▼浦和

MF安居海渡(流通経大)先発

▼清水

DF山原怜音(※筑波大)先発

▼京都

FW木村勇大(関学大在学中)途中

▼G大阪

FW山見大登(※関学大)途中

▼C大阪

FW北野颯太(C大阪U-18)途中

▼広島

MF仙波大志(流通経大)先発

DF中野就斗(桐蔭横浜大在学中)途中

▼鳥栖

DF菊地泰智(流通経大)先発

MF佐藤響(流通経大)途中

FW藤原悠汰(明大)途中

※=特別指定選手として昨季J1出場